ロシアの『Match TV(マッチTV)』でF1解説者を務めるアレクセイ・ポポフが、2022年のF1シーズンは再びひとつのチームが圧倒的に支配することになるのではないかと「非常に恐れている」と語った。
2021年のF1はレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンが昨年通算7回目のドライバーズタイトルを獲得した王者ルイス・ハミルトン(メルセデス)を破って新チャンピオンに輝いた。
メルセデス以外のドライバーがF1チャンピオンとなったのはハイブリッド方式の現行F1エンジンが導入された2014年以降初めてのことだ。
今年はレッドブル・ホンダとメルセデスが拮抗した戦いを展開したものの、これまでとは大きく異なる技術レギュレーションが導入される2022年がどのような様相となるのかは、実際のところ、蓋を開けてみないとわからないというのが本当のところだろう。
2022年のF1マシンは18インチホイールタイヤが導入されることに加え、空力面でも大きな変更が行われている。2022年の空力レギュレーションではマシンが発生する乱気流が抑えられ、マシン同士がより接近しやすくなることでバトルがこれまでよりも増えると予想されている。
だが、ポポフは、その通りになるかどうかは疑わしいと母国ロシアの『Championat(カンピオナ)』に次のように語った
「私は、こういう新しいルールが導入される最初の年を非常に恐れているよ」
「みんなは大きな期待を寄せている。なぜなら、ロス・ブラウン(F1モータースポーツ担当マネジングディレクター)が新たなグラウンド・エフェクトを考え出したからね」
ポポフが言及した「グラウンド・エフェクト」とはマシン底部と地面の間の空気の流れによりダウンフォースを生むものだ。近年のF1マシンは主にフロントとリアウイングによってダウンフォースを発生させていたが、マシンそのものが一定のダウンフォースを生み出すものとなることで非常に複雑になっていたウイングを簡素かすることができ、ウイングによって発生していた乱気流が抑えられると考えられている。
「しかし、私がこれまで生きてきた間にも何度もルールが変わったが、そのたびに、戦いが激しくなるのではなく、1人の人間がグレーゾーンで何かを見つけ出し、彼らが1秒半も差をつけてきたんだ」
そう続けたポポフは次のように付け加えた。
「そして、そのシーズン全体が、ほかの皆が必死に追いつこうとするだけのものになるんだ」
ポポフは、今年のF1はいくつかのチームによるライバル関係が生まれていたが、2022年にもそうした状況になるとは考えにくいと次のように続けている。
「今年は階層的な戦いを目にしてきた。つまり、2チームが1位を争い、2チームが3位を争い、2チームが5位争いを繰り広げていた。だから、私が本当に望んでいないのは、誰かがブラウンのグラウンド・エフェクトをほかのチームたちよりずっとうまく扱うことだよ」
「残念ながら、がっかりすることになるというのが私の予想だ」
ポポフはそう語ると、次のように付け加えた。
「私は、再び、ある種の超優位性を目にすることになるかもしれないと恐れているよ」
しかし、レッドブルのヘルムート・マルコ(モータースポーツアドバイザー)は、2022年も現在の様相が大きく変わることはないだろうと考えているようだ。
マルコはイタリアの『La Gazzetta dello Sport(ガゼッタ・デロ・スポルト)』に対し、2022年も「まだ我々とメルセデスとの間で戦われることになるだろう」と語っている。