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「リスクをとる」フェルスタッペンはF1チャンピオンに値するとラルフ・シューマッハ

2021年12月07日(火)18:07 pm

元F1ドライバーのラルフ・シューマッハは、勝利のためにリスクを冒すことをいとわないマックス・フェルスタッペンにはF1チャンピオンになる資格があると考えている。

近年まれに見る大接戦となっている2021年のF1タイトル争いだが、今週末に行われる最終戦アブダビGP(12日決勝)を前に多くのメディアが懸念しているのは同ポイントで並んでいるマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)とルイス・ハミルトン(メルセデス)の戦いがクラッシュで終わるのではないかということだ。

先週末にジェッダ市街地サーキットで初開催された今季のF1第21戦サウジアラビアGPではハミルトンが勝利するとともにファステストラップポイントも獲得。フェルスタッペンは2位でレースを終えたことから、この2人がいずれも369.5ポイントで並んだ状態で今週末の最終戦を迎えることになる。

アブダビGP決勝で相手よりも前でフィニッシュした方が今年のチャンピオンとなるわけだが、仮に両者ともにノーポイントでレースを終えた場合には、今年の通算勝利数で上回るフェルスタッペンがタイトルを獲得することになる。

実際、先週末のサウジアラビアGP決勝でもフェルスタッペンとハミルトンがホイール・トゥ・ホイールの戦いを展開したが、コースを外れてアドバンテージを得たと判断されたフェルスタッペンがハミルトンにポジションを譲るよう指示された際に、一見フェルスタッペンが急減速してそれにハミルトンのマシンが追突するというシーンも見られた。

この件に関してはレース後にフェルスタッペンに10秒加算ペナルティが与えられた(最終順位に変動はなし)ものの、より緊迫したレースとなるであろうことが必至であるアブダビでもフェルスタッペンが一か八かのバトルをしかける可能性も高いのではないかと考えている者も少なくないようだ。

だが、メルセデスのチーム代表を務めるトト・ヴォルフはその可能性について質問されると、「いや、もうこれ以上エスカレートすることはないだろう」と答え、次のように続けた。

「関係者には多くの警告が発せられたし、アブダビはクリーンになると思うよ」

「そうでなければならないんだ。コース上で達成されたのではない結果によって決着がついてもよいと考えている者など誰もいないのだからね」

ヴォルフはそう語ると、先週末のジェッダ市街地サーキットで起こったことから「全員が学び、最終戦に向けてうまく対応してくれることを願っている」と付け加えた。

ヴォルフはさらに、アブダビにおいてもフェルスタッペンがサウジアラビアと同じようなドライビングスタイルを見せればレーススチュワードによってペナルティが与えられ、「誰にとっても居心地の悪い状況」になる可能性が高いとも語っている。

「クラッシュによって影響を受けた結果が今年のタイトル争いにふさわしいとは思わない。だから、私は今回のことに関しては自主規制システムに大きな信頼を寄せているよ」

そう述べたヴォルフは次のように締めくくった。

「一方のドライバーがほかのドライバーを排除するのではなく、速いマシンと速いドライバーがF1選手権を制するべきなんだ」

ちなみに、ハミルトンと同じ通算7回のF1史上最多ドライバーズタイトル獲得記録を持つミハエル・シューマッハだが、ベネトンで走っていた1994年の最終戦で、タイトル争いを繰り広げていたデーモン・ヒル(当時ウィリアムズ)とクラッシュ。これにより両者ともにリタイアとなったことから1ポイント差で初のF1タイトルを手にしている。そしてこのクラッシュはミハエル・シューマッハが故意に起こしたものだったとの疑惑がある。

そのミハエル・シューマッハは1997年にはやはりタイトルを争っていたジャック・ビルヌーブ(当時ウィリアムズ)に故意にマシンをぶつけたことから、FIA(F1統括団体の国際自動車連盟)はミハエル・シューマッハに対してこの年のドライバーズランキングから除外するという厳罰を与えている。

ヴォルフのコメントは、そうしたことにならないように気をつけるべきだというフェルスタッペンに対する警告であるのは確かだ。

しかし、かつてウィリアムズやトヨタで活躍したラルフ・シューマッハは、母国ドイツの『Sky Deutschland(スカイ・ドイチュランド)』に対し次のように語り、先週末のフェルスタッペンとハミルトンの接触問題に言及しながら、フェルスタッペンはそのとき故意にハミルトンを自分のマシンに追突させようと思っていたわけではないはずだとの考えを示している。

「私はフェルスタッペンが冒すリスクが大好きなんだ」

「マックスにはやりすぎないように気をつける必要があるだけだ」

「そうすればマックスはギリギリの線で行けるだろう。彼にはもう少し賢くならなければならないときもある」

ラルフ・シューマッハは、レッドブルにとっての問題はその2021年型F1マシンがメルセデスF1マシンほど速くないことだと指摘し、それゆえフェルスタッペンがリスクを負わざるを得ない状況にあるのだと示唆している。

しかし、ラルフ・シューマッハは、今年のF1を最後までスリリングなものにしたフェルスタッペンとハミルトンはいずれもチャンピオンとなるにふさわしいドライバーだと主張し、次のように続けた。

「2人ともタイトルに値するけれど、フェルスタッペンの方がタイプ的には僕に近いね」

「彼は自分の意見を持っているし、非常に早く学んだ若いスポーツマンを体現しているよ」

「すごく長い時間をかけただけに、マックスとレッドブルチームもそれ(タイトル獲得)にふさわしいよ」とラルフ・シューマッハは結んでいる。

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