今季のF1第21戦として初開催されたサウジアラビアGPでの最初の勝者となったルイス・ハミルトン(メルセデス)が、タイトル争いのライバルであり、レース中に何度も緊迫した戦いを繰り広げたマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)の姿勢を批判した。
●【F1第21戦サウジアラビアGP】決勝レースのタイム差、周回数、ピット回数
レース前にはフェルスタッペンに8ポイントのリードを許していたハミルトンだが、ジェッダ市街地サーキットでの優勝し、ファステストラップポイントも獲得したことから、このレースを2位で終えたフェルスタッペンと369.5ポイントで並んで今週末の最終戦アブダビGP(12日決勝)を迎えることになった。
これにより、最終戦では通算8回目のタイトル獲得を目指すハミルトンと初の戴冠を目指すフェルスタッペンのいずれか先にフィニッシュした方が2021年のチャンピオンとなるわけだ。
だが、もしこの2人がいずれも最終戦をリタイアするなどしてノーポイントで終わった場合には、今季の勝利数が多いフェルスタッペンがタイトルを手にすることになる。
そして、そうした形でタイトルの行方が決する可能性は小さいと考えるのは、あまりにも楽観的過ぎるかもしれない。
実際のところ、サウジアラビアGP決勝でもこの2人がからむシーンがたびたびあった。そしてフェルスタッペンにはコース外にはみ出すことでアドバンテージを得たこと、さらにハミルトンを先行させるときに必要以上に減速したことでハミルトンの追突を誘発した2件についてそれぞれタイム加算ペナルティとペナルティポイントが与えられている。
「28年の間に僕は様々なキャラクターに出会ってきたよ」
自分のレースキャリアを振り返りながらそう語った36歳のハミルトンは、明らかにフェルスタッペンのことを指しながら次のように続けた。
「限界を超えているトップの数人は、自分にはルールが適用されないと思っているんだ」
「彼が限界を超えているのは確かだ。僕は何度も彼との衝突を避けてきたよ」
ハミルトンが、急減速したフェルスタッペンのマシンを避けきれずに追突し、フロントウイングにダメージを負ったときに自分のヘッドフォンを叩き壊したシーンがカメラにとらえられていたメルセデスのトト・ヴォルフ(チーム代表)は、レース後にフェルスタッペンを次のように批判している。
「マックスはまだカートを運転しているようなドライビングをするし、何が起こるかなど気にしないかのように猛スピードでコーナーに入っていくんだ」
しかし、フェルスタッペンもジェッダ市街地サーキットの表彰台の上では目に見えて怒りをあらわにし、メルセデスの2人のドライバーと一緒に伝統的なシャンパンファイトを行うことなく、その場を立ち去っていた。
「あれはシャンパンではなかったし、それじゃ面白くないからね」
そう語ったフェルスタッペンは、このレースでファンの投票による「ドライバー・オブ・ザ・デー」に自分が選出されたことに言及しながら次のように続けた。
「少なくとも、ファンはレースに対して明確な考えを持っているよ」
「僕はただレースをしようとしているだけさ」
「このスポーツはレースをすることよりもペナルティの方が重要なんだ。今回のレースだけでなく、それがF1における全体的な傾向だよ」
そう語った24歳のフェルスタッペンは次のように付け加えた。
「それは僕が見ながら育ってきたF1ではないけれど、これが現実だし、僕たちはそれに対応しながら前に進むしかないよ」
いずれにせよ、両者が同ポイントで今季最後の戦いに臨むことになる今週末の最終戦アブダビGPが目が離せないレースになることは間違いないだろう。