初開催となったF1第21戦サウジアラビアGP(ジェッダ市街地サーキット)決勝レースで、37周目にクラッシュを引き起こしたとしてマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)に10秒のタイムペナルティと2ペナルティポイントが科せられた。
●【F1第21戦サウジアラビアGP】決勝レースのタイム差、周回数、ピット回数
■37周目の2つの事件
37周目、2つの事件が起こった。
1つ目はターン1。フェルスタッペンはコースアウトしながらルイス・ハミルトン(メルセデス)の前に出たが、ハミルトンにポジションを戻すよう求められた。
そして2つ目の事件が起こった。ポジションを戻すよう求められたフェルスタッペンはレコードラインをキープしながら、ハミルトンに追い越させるために緩やかなカーブのターン26で急減速した。ここは本来アクセル全開区間であり、最終コーナーのターン27の手前でもある。
ハミルトンは、減速したフェルスタッペンに不意を突かれ、左に避けたが、レッドブル・ホンダに接触してフロントウイングを破損してしまった。
■審議結果
1つ目の審議の結果、フェルスタッペンはターン1でのアクシデントに対して5秒のタイムペナルティを受けた。
そして2つ目についてはレース後の審議対象となっており、レース後、このターン27での接触について両ドライバーはスチュワードに呼び出された。
両ドライバーの意見を聞いたスチュワードは、フェルスタッペンにさらに10秒のタイムペナルティと2点のペナルティポイント(12カ月間で合計7点)を科すことを決定した。
■スチュワードが見解「両者とも思惑があった」
スチュワードは次のような文書を公表した。
「ターン21で33号車(フェルスタッペン)のドライバーは、44号車(ハミルトン)にポジションを返すように指示され、チームからは『戦略的に』そうするように言われていた。33号車はターン26で大きく減速した」
「しかし、『DRS検出ライン3』の手前で、どちらのドライバーもトップで通過したくないと思っていたのは明らかだった」
なぜならターン27の手前にある『DRS検出ライン3』を先に通過すれば、ターン27を通過した後のホームストレートでDRSを使ってライバルに抜かれてしまうためだ。
「33号車のドライバー(フェルスタッペン)は、『44号車(ハミルトン)がオーバーテイクしないことを不思議に思っていた』と述べ、44号車のドライバーは『その段階では33号車がポジションを戻そうとしていることを知らなかったため、33号車がスローダウンしている理由を知らなかった』と述べた」。
両ドライバーは、お互いに自分に有利な状況を作りたがっていたのだ。
■重要なポイントは「ブレーキ」
ではスチュワードがペナルティを決めた理由は何だったのだろうか?それは「ブレーキ」データの事実だった。
「33号車(フェルスタッペン)のドライバーへのペナルティを決定するにあたり、スチュワードの重要なポイントは、33号車のドライバーがその後、急ブレーキ(69バール)をかけて大きく減速し、2.4Gの減速をもたらしたことである」
「44号車のドライバーは、33号車が最初に減速したときに追い越すことができたことを認める一方で、我々は彼(および33号車のドライバー)がDRS(ライン)を最初に通過することを望まなかった理由を理解している」
「しかし、33号車のドライバーによる急ブレーキは不規則であり、それが衝突の主な原因であるとスチュワードは判断し、このような類いの事故に対する標準的なペナルティである10秒を科すことにした」
■フェルスタッペン、同点のまま最終決戦へ
フェルスタッペンは、FIA国際スポーツコードの第2条第4章の別紙Lに違反したと認定されたものの、F1サウジアラビアGPでの2位はキープされることとなり、ハミルトンと同ポイントのまま最終戦へ臨むことになる。