フェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)が、F1は世界で最も不公平なスポーツかもしれないと語った。
2005年と2006年にルノーで2年連続F1チャンピオンとなったアロンソにとって、先週末にインテルラゴス・サーキットで行われた今季のF1第19戦サンパウロGPはまざまざと現在のF1の現実を見せつけられるものだったようだ。
「土曜日には驚かされたよ」
そう語ったアロンソが言及したのは、金曜日の予選後にリアウイングの規定違反は見つかったことで失格となり、土曜日に行われたスプリント予選を最後尾からスタートすることになったにもかかわらず、現F1チャンピオンであるルイス・ハミルトン(メルセデス)がわずか24周のスプリントレースで5位にまで浮上したことだ。
さらに、日曜日に行われた決勝ではエンジンコンポーネント交換によるグリッドペナルティで10番グリッドからのスタートとなったものの、結局ハミルトンがトップチェッカーを受けている。
「つまり、ひとつの週末で25(グリッド)ものペナルティを受けたドライバーが、それでもレースに勝つということには誰もが驚かされたと思うよ」
そう語った40歳のアロンソは次のように付け加えた。
「それが現実なんだ」
アロンソはさらに、こういう状況は実際のところ今に始まったことではないと次のように続けた。
「ドライバーとしては、ある者に対してひとつのゴールが、そしてほかの者すべてに対してひとつのゴールしかない状態でプレーしているようなものだよ。彼ら(メルセデス)は大きなゴールでポイントを稼ぎ、ほかの者たちは小さなゴールでポイントを得るしかないんだ」
「だから、いつも負けてしまうわけさ」
「僕は幸運にも2回F1チャンピオンになれたし、その名誉が与えられてきた。WEC(世界耐久選手権)でもトヨタにいたことでクルマにそういう優越感のようなものを持つことができていた」
「だけど、僕はこのスポーツを見ている小さな子供たちが1台のクルマが2台のクルマをストレートで追い抜いていく様子を見ているところを想像してしまうんだ。彼らに自分もチャンピオンになれるという希望を失わせるべきではないよ」
「僕たちドライバーは誰もがこのスポーツに全力で取り組んでいる。多くのトレーニングをこなし、シミュレーター作業も行い、毎回命がけでやっているんだ」
「でも、僕らはどのレースでも1周遅れになってしまうし、カタール(第20戦/21日決勝)へ行く前からそこでもそうなることが分かっているんだ。このようなことが起こるのは、本当にこのスポーツだけだよ」
アロンソはかねてから、そうした状況を打開するための新しい技術レギュレーションが導入される2022年に期待していることを口にしてきている。それによって「このスポーツが少し公平なものになる」可能性があるからだ。
しかし、アロンソは次のように付け加えた。
「それがうまくいくかどうかは分からないよ」
一方、フェラーリのシャルル・ルクレールとカルロス・サインツは、今回のアロンソのコメントには納得できない部分もあるようだ。
「僕は賛成できないね」
そう語った24歳のルクレールは次のように続けた。
「ルイスが今すごく強力なマシンを持っているのは確かだよ。だけど、彼はそのマシンが持つ能力以上のことをやってみせたのだと僕は思っている」
サインツも、「そう、僕も今日いろんなソーシャル・メディアでこのことが議論されているのを目にしたよ」と語ると、次のように付け加えている。
「両方の組み合わせについて話してみようよ。偉大なドライバーであり、非常に才能のあるドライバーが、この週末にものすごく圧倒的な力を発揮したマシンを手にしていたということさ」