2人のF1ドライバーが、それぞれの所属チームと対立したまま先週末に今季のF1第18戦が行われたメキシコを離れることになったようだ。
●【F1第18戦メキシコGP】決勝レース結果のタイム差、周回数、ピット回数
■「失望した」とアルファロメオのジョビナッツィ
まず、メキシコで問題を抱えてしまったと考えられているのはアルファロメオだ。これまでの噂によれば、アルファロメオは2022年に向けて現在フルタイムドライバーを務めているアントニオ・ジョビナッツィとの契約を解除することになるだろうと言われている。
アルファロメオでは今季限りでのF1引退を表明しているキミ・ライコネンの後任として2022年にバルテリ・ボッタス(現メルセデス)を迎え入れることが決まっているが、そのチームメートに関しては現在F2選手権に参戦している若手ドライバーの中から選択することになるのではないかと考えられている。
フェラーリの支援を受ける27歳のイタリア人ドライバーであるジョビナッツィは、メキシコGP決勝を11位で終えるとゴールした瞬間に無線でチームにこう伝えていた。
「みんな、素晴らしい戦略をありがとう」
11番グリッドからスタートしたジョビナッツィがポイント圏内に順位を上げることなく終えたことに対して本当に感謝していると考えるのには無理があるだろう。
実際のところ、ジョビナッツィは自分担当のエンジニアがタイヤ交換のタイミングを誤ったと考えていたようだ。
ジョビナッツィはその後、チームの指示でピットインしてミディアムタイヤからハードタイヤに交換したときのことについてメディアに対してテレビ局『Sky Italia(スカイ・イタリア)』に次のように語った。
「僕は失望しているし、怒りも感じているよ」
「彼ら(チーム)が(ピットに)入るように言ってきて、コースに戻るとリカルド(マクラーレン)とボッタスの後ろだった。彼らはまだストップしていなかったんだ。だからペースはミディアムを履いていたときよりも遅かったよ」
「そのうち、タイヤは完全にだめになったし、僕よりも後で交換したドライバーたちの方が僕よりも速かった。明らかに誤った戦略だったよ」
ジョビナッツィに関しては、第16戦トルコGP決勝でチームオーダーを拒否したことが話題となっていたが、今季限りでアルファロメオを去ることになるのをすでに知っているのではないかとの噂もある。
そのことを示唆してかどうかは不明だが、ジョビナッツィは次のように語っている。
「今日までそれを信じたいとは思っていなかった。だけど、今の僕は本当に失望しているよ」
■「ガレージの両側でルールが違う」とハースのマゼピン
一方、ハースのニキータ・マゼピンもメキシコでエンジニアリングディレクターを務める小松礼雄(こまつあやお)との間にちょっとしたいざこざがあったようだ。
マゼピンは予選でのウォーミングアップラップ中にチームメートのミック・シューマッハとポジションを入れ替えたいと小松ディレクターに伝えていた。それはシューマッハのスピードが遅すぎるからだというのがマゼピンの言い分だった。
だが、小松ディレクターからポジションをそのままキープするように伝えられたマゼピンは「笑っているのか?」と言いがかりをつけたという。
それに対して小松ディレクターは、「僕は笑ってなんかいないよ、ニキータ」と返していた。
その後、マゼピンはメディアに対し、表には出ていないだろうが、こういう状況はハースでは「常に話題になっている」ものだと語り、次のように続けた。
「ザントフォールト(第13戦オランダGP)で彼(シューマッハ)が僕を追い抜いたときもそうだった。僕はこう言われたよ。これはドライバーが違うやり方でタイヤを作動させる場合においてのみ可能なことだとね」
「ガレージの両側でルールが少しばかり違うように見えるんだよね」
「僕は自分自身が困難な状況に置かれていることに気付いているよ。実際のところ、こういうことは以前にもあったからね」
「きっと、僕はそれを乗り越えるだろう。だけど、今は僕にとって楽な時期ではないよ」
いずれも22歳のマゼピンとシューマッハだが、最近では両者の関係が悪化していると考えられている。そして、この2人は2022年もハースのチームメートとして共に戦うことになっている。