F1は、リバースグリッドの導入について再び話し合いを行うことになるようだ。
F1オーナーのリバティ・メディアは、新たなファンを獲得するためにはグランプリをさらにエキサイティングなものにする必要があると考えており、そのひとつの方法としてリバースグリッドを導入することをこれまでに何度も提案してきていた。
リバースグリッドとは、すでにF1以外のいくつかのカテゴリーでは導入されているが、簡単に言えば、予選やスプリントレースの順位を逆にしてレースをスタートさせるというものだ。
これにより、速いドライバーやマシンが自分たちより遅いマシンの後ろからスタートすることになるため、レース中のオーバーテイクが増え、よりドキドキハラハラするレースが展開されることになる。
しかし、F1ドライバーや関係者の中には、F1がこの方式を採用することに違和感を覚えている者も少なくない。
例えば、2010年から2013年までレッドブルで4年連続F1チャンピオンとなったセバスチャン・ベッテル(現アストンマーティン)は、意図的にスタート順を入れ替えるのは「まったくのデタラメ」だと批判している。
だが、伝えられるところによれば、今回F1が検討しようとしているリバースグリッドは、1シーズンのうちにいくつかのグランプリで実施されることになる「スプリント予選」だけに適用するというもののようだ。
今季は試験的に3レースでスプリント予選が実施されることになっているが、すでに第10戦イギリスGPと第14戦イタリアGPで実施されており、残すは第19戦ブラジルGP(14日決勝)のみとなっている。
F1では、今年これまでに行った2回のスプリント予選は成功だったと考えており、F1モータースポーツ担当マネジングディレクターを務めるロス・ブラウンは、2022年には6レースでこれを実施したいとの考えを示している。
「我々はこのコンセプトには非常に前向きだよ」
オランダの『De Telegraaf(テレグラーフ)』にそう語ったブラウンは次のように続けた。
「しかし、我々はあまりにも過激なやり方をしないように気をつけている」
「来年以降はクルマそのものが大きな差を生むだろうからね」
そう語ったブラウンだが、リバースグリッドを導入するという案はまだ消えたわけではないと認め、次のように続けている。
「それは将来に向けての課題だ。我々は一歩ずつそれを行っていくよ」
「我々はまだ来年に向けた具体的なやり方についての話し合いを続けているところだ。例えば、金曜日の予選で最も速いドライバーにポールポジションの記録を与えるかどうか、また、土曜日にもっと多くのポイントを獲得できるようにするかどうかなどが議題となるよ」
「そうすれば、土曜日がドライバーたちにとってさらに面白いものになるだろう。しかし、日曜日には本当のレースがあるわけだから、あまり多くのポイントを与えるべきではないだろうね」
ブラウンが示唆した議題に関しては、12月に行われる世界モータースポーツ評議会の前に話し合われることになると考えられているようだ。
現在、有力だと考えられているのは、通常の形式で行われる金曜日の予選で最速だったものが正式なポールポジション獲得者とされるとともに、日曜日に行われる決勝ではそのドライバーが実際にポールポジションからスタートすることになるものだという。
それでは、土曜日の行われるスプリント予選はどうなるのかと言えば、金曜日の予選順位に基づいてリバースグリッドが適用されるスプリントレースとして行われ、通常のF1選手権とは別の選手権として争われることになるのではないかと考えられているようだ。これは、F1のCEOを務めるステファノ・ドメニカリが将来の導入をほのめかしていたものだ。
そして、フェラーリのチーム代表を務めるマッティア・ビノットはこの案に賛成のようだ。
「私はそれがいいと思う。ショーやスペクタクルとして興味を引くことができるからね」
そう語ったビノットは次のように付け加えた。
「最初からミニレース形式を提案していたのは我々フェラーリだったんだ」