ニコ・ヒュルケンベルグにとって初めてのインディカーでの走行はまずまずの結果に終わったようだ。
2019年までルノーで走っていたドイツ人ドライバーのヒュルケンベルグは、今季はアストンマーティンのリザーブドライバーを務めながら2022年にF1に復帰するチャンスを探っていた。
しかし、そのチャンスをつかむことができなかったヒュルケンベルグは、事実上自分のF1キャリアは終わったと受け止めている。
ヒュルケンベルグは今後F1に代わる新たなレースカテゴリーを探すことになるが、そのひとつの可能性がインディカーだ。
34歳のヒュルケンベルグは25日(月)にバーバー・モータースポーツ・パークで行われたインディカーのテストに参加し、そこでアロー・マクラーレンSPのインディカーマシンを初体験している。アロー・マクラーレンSPでは2022年には3台体制でエントリーすることを検討しており、今回のテストではそのための評価を行うことを目的としていたようだ。
「レースカーに乗ったのは1年ぶりだし、何よりもそれがとても嬉しかったよ」
アメリカの『Racer(レーサー)』誌にそう語ったヒュルケンベルグだが、やはりF1マシンとインディカーの違いには少々とまどったようだ。
「F1マシンとは明らかに違うよ。全体的な感覚、経験、音、シートの位置など、すべてが違うんだ」
「だから、それらを理解しなければならなかった。でも、僕の目から見れば、今日はよかったし、うまくいったと思うよ。そして、今日ここでこういう機会を得られたことを嬉しく思っている。すごく楽しかったよ」
伝えられるところによれば、ヒュルケンベルグは今回のテストで合計100ラップを走行したという。だが、F1マシンとは全く異なるマシンに慣れるには、どうしても時間がかかってしまったようだ。
「間違いなく午前中はかかったよ。ほかにもいろいろ違うものがあるけれど、たとえばエアロスクリーンはあまり空気が入ってこないから、午前中はそれで問題を抱えてしまったよ。だから、そういう観点からは、マシンに乗ってすぐに満足感を得るのは少し難しかったし、厄介だったよ」
「昼休みを迎えるころには、少しずつ前進できたと感じていたし、少しずつ調子も上がってきていた。そして、ラップタイムやパフォーマンスも向上し始めていたよ」
そう語り、F1とインディカーには大きな違いがあると認めたヒュルケンベルグだが、その一方で2つのカテゴリーには似ている部分もあると指摘している。
「すごくプロフェッショナルだよ。かなりのF1のスタイルに近いと言えるよ」
そう語ったヒュルケンベルグは次のように付け加えた。
「もちろん、ピットウォールから見えるものなどは違うよ。だけど、仕事の進め方や話の内容など、すべての面でF1と非常によく似ているよ」
今年は昨年までハースに所属していたフランス人ドライバーのロマン・グロージャンがインディカーに移籍して見事な活躍を見せたが、2022年にはヒュルケンベルグがその後を追うことになる可能性もありそうだ。