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F1をあきらめてインディカー参戦を決めた若手ドライバー「僕には金持ちの父親はいない」

2021年10月22日(金)19:36 pm

現在F2選手権で戦っているデンマーク出身ドライバーのクリスチャン・ランガーが、近い将来のF1昇格をあきらめ、2022年からアメリカのインディカーで戦うことが明らかとなった。

2017年にルノーと育成ドライバー契約を結んだランガーは、2018年にフォーミュラ・ルノー・ユーロカップでランキング2位となり、2020年からF2選手権に参戦しランキング7位となっている。

今年もF2で戦っているランガーだが、現時点ではランキング11番手と苦しいシーズンを送っている。

20歳のランガーは、このままでは2022年にF2を続けるのも困難だろうと示唆し、次のように語った。

「今年は2年目のF2シーズンだけど、3回目のチャンスを得るためには金持ちの父親が必要だと思う。そして、僕にはそんな父親はいないんだ」

そのランガーは、今年8月に佐藤琢磨が所属するレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングのテストに参加。さらに、インディアナポリス・モーター・スピードウエイのロードコースで行われた第12戦に同チームからスポット参戦し、予選4番手、決勝では12位となる結果を残していた。

そして、佐藤琢磨が今季限りで離脱することが決まっているレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングがこのほどランガーと2022年から複数年契約を結んだことを発表。ランガーは来年からヨーロッパを離れ、アメリカで新たなキャリアをスタートさせることになった。

ランガーの母国デンマークの自動車協会会長を務めるボー・ベルツァーはこのニュースは大歓迎だと次のように語っている。

「F1はモータースポーツでは最高のカテゴリーだ。しかし、我々は何年も前からインディカーでデンマーク人が走ることを夢見てきた」

「基本的には、彼はF1に戻るためにこのチャンスを使うこともできる。そうしてきたドライバーを何人も見てきたしね」

ランガーも、インディカーでいい結果を残すことでF1で走るチャンスを得る可能性もあると考えているようだが、現時点では慎重な姿勢を崩していない。

「ヨーロッパ出身者だし、僕の夢はずっとF1だったよ」

「だけど、そこにはわずか20人のドライバーしかいないのはわかっているし、彼らがチームが望んでいる結果を出せば、財政的支援や正しい結果に恵まれない若いドライバーがそこに行くのは難しいよ。問題はタイミングなんだ」

母国の『Ekstra Bladet(エクストラ・ブラデ)』紙にそう語ったランガーは、自分と同じルノーの育成ドライバーであり、現在F2でランキングトップに立っているオーストラリア人ドライバーのオスカー・ピアストリの名前をあげながら次のように続けた。

「オスカー・ピアストリを見てごらんよ。彼はF2選手権をリードしているけれど、来年はもう彼には行き場がないんだ。僕は、あそこ(インディカー)に行って自分の能力を証明することができる」

「4年か5年の間に、もしもタイミングが合って、結果も出せていれば、そのときは(F1転向も)あるかもね」

そう語ったランガーは次のように付け加えた。

「そういうチャンスはずっと来ないかもしれない。だけど、もし来るのなら、それが僕の望むところさ」

なお、フェラーリの育成ドライバーであり、今季はアルファロメオのリザーブドライバーも務めているカラム・アイロットも2022年にはフンコス・ホリンジャー・レーシングからインディカーにフル参戦することになっている。

今年のインディカー・シリーズはかつて全日本F3選手権やスーパーフォーミュラでも活躍していた24歳のスペイン人ドライバーであるアレックス・パロウがチャンピオンに輝いたが、優秀な若手ドライバーたちが加わることで、インディカーにもさらに世代交代の波が押し寄せることになりそうだ。

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