メルセデスF1チームを率いるトト・ヴォルフ(チームCEO)が、ルイス・ハミルトンのマシンにもう一度新しいエンジンを搭載する必要が生じるかもしれないと示唆した。
ハミルトンは先週末に行われた今季のF1第16戦トルコGPにおいて今季4基目となるICE(内燃機関)を投入し、10グリッド降格ペナルティを受け、決勝を5位でフィニッシュしていた。これによりそのレースで2位となったマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)が再びランキングトップに返り咲き、現時点では6ポイント差でタイトル争いをリードしている。
実際のところ、最近のレースではメルセデスのパフォーマンスがレッドブル・ホンダをしのいでいるのは確かであり、現時点での6ポイントという差はあってないようなものだ。
だが、仮にハミルトンがもう一度新たなエンジンコンポーネントを投入してグリッドペナルティを受けることになれば、状況は大きく変わってくる可能性もある。
そして、ヴォルフは次のように語り、その可能性があることを示唆している。
「トルコでは4基目の内燃機関を投入したが、今後リスクを冒してもまた新しいエンジンを投入する価値があると言う時が来るかもしれない。今はまだそうは言わないがね」
一方、ハミルトンより一足早く第15戦ロシアGPで4基目のエンジンを投入してグリッドペナルティを受けていたフェルスタッペンは、もう残りのレースで年間規定数を超えるエンジンを投入する計画はないようだ。
「マックスは、これ以上のペナルティを受けることなく最後までいくはずだ」
そう語ったレッドブルのクリスチャン・ホーナー(チーム代表)は次のように続けた。
「現在、我々は3基のエンジンを使用できる状況にある。しかし、それは絶対に確実ではないがね」
「どうやらメルセデスには信頼性の問題があるようだが、それでも彼らのパフォーマンスには目を見張るものがある」
ともあれ、2014年にハイブリッド方式の現行F1エンジンが導入されて以来メルセデスが圧倒的な強さでF1タイトルを独占していたが、今年はその様相が大きく変わっているのは確かだ。
「今年は何人も違う勝者が誕生しているし、本当に素晴らしいシーズンになっているよ。来年すべてが変わってしまうのがもったいないくらいだ」
2022年に新F1技術レギュレーションが導入されることに言及しながらそう語ったホーナーは次のように続けた。
「ラストスパートに入れば、エンジンペナルティや天候など、いくつかのランダムな要素が確実に影響してくるだろう」
「非常に魅力的な2か月になるのは間違いないよ」
「メルセデスがこのようなプレッシャーを受けるのは初めてのことだ」
「マックスはあらゆる面でバランスがとれているし、安定したドライビングをしている。だが、それはもう今や当たり前のことになっている。そして、彼はその間にも経験を積み上げてきている」
ドイツの『Sport Bild(シュポルト・ビルト)』にそう語ったホーナーは次のように締めくくっている。
「彼はタイトルをとる準備が整っているよ」