今年はルイス・ハミルトン(メルセデス)とマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)の間で激しいF1タイトル争いが繰り広げられており、現時点での両者の差はわずかに2ポイントだ。
前戦F1ロシアGPではフェルスタッペンが規定数を超えるエンジン投入によりグリッド降格ペナルティを受けて最後尾からスタートすることになったため、ハミルトンがポイント差をそこで大きく広げる可能性があった。
だが、レースはハミルトンの勝利に終わったものの、フェルスタッペンも最後尾から追い上げて2位フィニッシュを達成したことで、ダメージリミテーションという意味ではまさに勝利に等しい結果を残すことに成功している。
伝えられるところによれば、ハミルトンも今後どこかのレースでエンジン交換ペナルティを受ける可能性が高くなってきており、現在は2ポイントリードしているとは言え、状況的には厳しくなってきているのも確かだ。
メルセデスのチーム代表を務めるトト・ヴォルフは、ハミルトンのエンジン交換の時期を尋ねられると次のように答えた。
「いつどのように行うかはまだ決めていない。だが、最も重要なことはリタイアしないということだ」
「波があることには対応できる。2位あるいは3位となってもそれは問題ないと思っている。だが、フィニッシュすることができなければ……。」
かつて2005年と2006年にレッドブルで出走した経験を持つ元F1ドライバーのクリスチャン・クリエンも、現在接戦を展開しているフェルスタッペンとハミルトンには残りのレースで大きなトラブルを抱えないことが絶対必要条件となると考えている。
仮に、メルセデスがハミルトンのエンジン交換のタイミングを読み間違えてレース中にトラブルを抱えるようなことになれば、それはタイトル争いにおいて致命傷となってしまうだろう。
「フェルスタッペンには、すでにエンジン交換が済んでいるという大きなアドバンテージがある。それはハミルトンにとっては大仕事になるだろうね」
母国オーストリアの『Servus TV(セアヴスTV)』にそう語った38歳のクリエンは、今週末にイスタンブールで開催される第16戦トルコGP(10日決勝)もフェルスタッペンに有利だろうと次のように続けた。
「速くて流れるようなコースだしコーナーも多い。そして、フェルスタッペンには新しいパワーユニット(エンジン)がある」
「それでも、レースの勝敗を決めるのは当日の調子によるところが一番大きいと私は思っているよ」
「このチームたちはコース上でもコース外でも激しく争っているが、この状況はスポーツにとって素晴らしいことだ。それは確かだよ」
クリエンは、今季はフェルスタッペンとハミルトンがコース上でこれまで2回クラッシュしているものの、フェルスタッペンはそれによって今後ドライビングを変えるといったことはないはずだと考えている。
「それはフェルスタッペンにとっては問題ではないよ。彼はそういうことはすべて忘れてしまうんだ」
微笑みを浮かべながらそう語ったクリエンは次のように付け加えた。
「だけど、それは普通のことだよ。ほかのレースカテゴリーではこういうアグレッシブな戦いが常に行われている。そして誰もそれについて何も言わないよ」