レッドブル首脳のヘルムート・マルコが、マクラーレンに所属する21歳のランド・ノリスと交渉を行っていたことを認めつつも、自分たちには最高の若手ドライバーであるマックス・フェルスタッペンがいると主張した。
ここ数年、F1では多くの若手ドライバーが台頭してきている。前戦ロシアGPで惜しくもポール・トゥ・ウィンを逃したノリスはもちろん、2022年にはメルセデスへの昇格が決まったジョージ・ラッセル(ウィリアムズ)もいる。
ラッセルは非力なウィリアムズF1マシンで今季はすでに4回予選Q3に進出してみせており、そのうち第12戦ベルギーGPと第15戦ロシアGPの予選ではいずれも天候を味方につけてそれぞれ2番手、3番手となる素晴らしい結果を残している。
そのラッセルは2020年には新型コロナウイルス感染により欠場することになったルイス・ハミルトンの代役としてバーレーンで行われた第16戦サヒールGPでメルセデスから出走し、予選でチームメートのバルテリ・ボッタスに次ぐ2番グリッドを確保すると、決勝ではそのボッタスをオーバーテイクしてトップを快走。レース終盤に起きたチームのピット作業ミスさえなければ初優勝を遂げていただろうと思わせるパフォーマンスを見せていた。
だが、世界的エナジー飲料メーカーが所有するレッドブル・レーシングとスクーデリア・アルファタウリのドライバープログラム責任者であるマルコは、母国オーストリアの『Osterreich(エステルライヒ)』からラッセルについて質問されると次のように語った。
「彼が本当にどれほどいいのかがわかるのは来年だよ」
「あのメルセデスであれば、ほかのドライバーがF1チャンピオンになってもおかしくないからね。本当さ」
しかし、今年マクラーレンでダニエル・リカルドを大きくしのぐパフォーマンスを見せ、ソチではレース終盤の雨さえなければ初優勝を遂げていた可能性さえあったノリスに関して質問されたマルコは次のように答えた。
「ノリスのことも見てきたが、私のランキングではまだマックスがトップにいるよ」
「我々は彼(ノリス)と何度か話をしたよ。だが、彼にはマクラーレンとの長期契約がある。そして、我々は自分たちのプログラムに忠実であり続けるつもりだ」
ともあれ、マルコにとって現時点での最大の課題は将来のことよりも、フェルスタッペンに2021年のF1タイトルをとらせることだろう。
「まず、我々は再びトップに立つ必要がある」
78歳のマルコはそう語ると次のように続けた。
「だが、(今後の)大多数のサーキットは実際のところレッドブルに有利だよ」
「16歳だったマックスをあえてF1に連れてきたことを私は誇りに思っているよ」
オランダ出身のフェルスタッペンが実際にトロロッソ(現アルファタウリ)のフルタイムドライバーとしてF1デビューしたときには17歳になっていたが、マルコがフェルスタッペンを2015年にF1デビューさせることを発表したときにはフェルスタッペンはまだ16歳に過ぎなかった。
「我々の道が正しいものであることを彼が疑わせたことは一度もないよ」
そう語ったマルコは次のように付け加えた。
「彼は常にものすごく集中している。勝利するという彼の目標を邪魔できるものなど何もないよ」