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「フェルスタッペンは意図的にハミルトンにぶつけたわけじゃない」とレッドブル首脳

2021年09月13日(月)18:15 pm

レッドブル首脳のヘルムート・マルコが、先週末にモンツァ・サーキットで行われたF1イタリアGP決勝で起きたマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)とルイス・ハミルトン(メルセデス)のクラッシュは決して意図的なものではなかったと主張した。

●【2021年F1第14戦イタリアGP】決勝レースの結果、タイム、周回数、ピット回数

イタリアGP決勝をポールポジションからスタートしたフェルスタッペンだったが、スタートでダニエル・リカルド(マクラーレン)に先行を許す苦しい展開となってしまった。

それでも、2021年のタイトル争いのライバルであるハミルトンも4番手に位置していたことから、仮にそのままの順位でレースを終えてもポイントリードをさらに広げることができていたはずだ。

ところが、先にタイヤ交換を行うためにピットインしたフェルスタッペンだったが、ここでレッドブルらしからぬミスが出てタイムを大きくロスしてしまった。

そして、その後ハミルトンがタイヤ交換を終えてピットアウトしたときには、わずかにフェルスタッペンの前だった。ここでフェルスタッペンがターン1でハミルトンに果敢に攻撃をしかけたが、両者が接触。そのまま2台のマシンが重なるようにしてグラベルに突っ込み、そこで2人のレースが終わりを告げてしまった。

このクラッシュの直後、フェルスタッペンはチーム無線を通じて次のように語っていた。

「スペースを残さなければこういうことになるんだ」

このクラッシュではフェルスタッペンの右リアタイヤが後ろからハミルトンの左リアタイヤに接触したことからフェルスタッペンのマシンが宙に浮き、そのままハミルトンのマシンの上に覆い被さるような形となっていたが、リプレイ映像を見るとフェルスタッペンの右リアタイヤがハミルトンのヘルメットを直撃しており、もしもハロと呼ばれるコックピット保護システムが設けられていなければハミルトンが大けがを負っていた可能性もある事故だった。

ハミルトンは、そのクラッシュの際、フェルスタッペンが自分の無事を確認しようともせずにその場を立ち去ったことにショックを受けたと次のように語っている。

「マックスがクルマを降りてすぐに歩き去ったのを目にした。僕はちょっと驚いたよ。ああいうことが起きたときには、まず、自分が事故を起こした相手の無事を確認したいと思うものだからね」

ハミルトンは首に痛みを抱えており、メディカルチェックと治療を受けるつもりだとしている。

しかし、フェルスタッペンは、自分があのままその場を去ったのは、すでにハミルトンには何も問題はないと理解していたためだと主張している。

「僕がクルマを降りたとき、彼はまだクルマを動かそうと試みていたんだ」

そう語ったフェルスタッペンは次のように付け加えた。

「もし何か問題を抱えていたら、そういうことはしないものだからね」

イタリアGPのレーススチュワードは、このクラッシュが起きた責任はフェルスタッペンにあると判定し、2ペナルティポイントとともに、次戦ロシアGP(26日決勝)で3グリッド降格ペナルティを科している。

しかし、今回のクラッシュでランキングトップのフェルスタッペンとランキング2番手のハミルトンのポイント差は5ポイントのままで、依然としてフェルスタッペンがタイトル争いをリードしているという形に変化は生じなかった。

仮にあのクラッシュが起きず、ハミルトンがフェルスタッペンの前でレースをフィニッシュしていたら、差が縮まるか、もしくはハミルトンが再逆転してランキングトップに返り咲く可能性もあっただろう。

こうしたことから、F1関係者やファンの中には、フェルスタッペンが意図的にハミルトンとのクラッシュを起こしたのではないかと疑いの目を向けている者もいる。

こうした中、マルコは次のように語った。

「この2人が友達にならないことは明らかだよ」

「マックスがハミルトンと接近してしまったのはピットストップで我々がミスを犯したためだ。だが、私に言わせれば、あれはレーシングインシデントだよ」

「ハミルトンはもっとスペースを空けることができたはずだよ。だが、マックスが意図的にそうしたと考えるのはナンセンスだ」

そう語った78歳のマルコは、かつてマクラーレン・ホンダのチームメート同士であったアイルトン・セナとアラン・プロストが意図的にクラッシュしたと伝えられている件に言及しながら次のように続けた。

「プロストとセナのようなものでもないよ。その違いはすごく大きい」

「結果は同じかもしれないが、あれはわざとだった。だが、今回はどちらにもそういう意図はなかったんだ。どちらもリタイアするよう計画することなどできないよ」

しかし、ハミルトンは今後も2人がホイール・トゥ・ホイールの戦いとなったときにクラッシュし続けることになるのではないかと考えており、今回のペナルティによってフェルスタッペンが冷静になってくれることを望んでいると語り、次のように付け加えた。

「そうでなければ、こういうことが続くだろう。僕はこういう事故を起こすことで知られているわけじゃないよ」

今回のフェルスタッペンの動きはサッカーでよく見られる「戦略的ファウル」だったと語ったメルセデスのトト・ヴォルフ(チームCEO)も、今後は2人がこういう事故を回避するよう努める必要があると次のように語っている。

「これからの8レースが8回の事故で終わるのは明らかにまずいことだよ」

一方、元F1ドライバーであるラルフ・シューマッハも、今回の事故はフェルスタッペンが意図的に起こしたものだという考えは間違っていると母国ドイツのテレビ局『Sky Deutschland(スカイ・ドイチュランド)』に次のように語った。

「意図的なものだとは思わないよ。それはレーサーの本質に反するものだ。マックスはただ懸命にあのコーナーをものにしようとしていただけだよ」

「私は、あれはチェスで言うところの手詰まり状態みたいなものだったと思う。つまり、誰にも動きようがなかったんだ。私がスチュワードなら、あれはレーシングインシデントだったと言っただろうね」

また、F1レースディレクターのマイケル・マシは、スチュワードの裁定を支持しつつも、今後も激しさを増すであろう今季のタイトル争いにFIA(F1統括団体の国際自動車連盟)が介入を試みる理由はないとしている。

「今後もそれぞれの案件を個別に検討していくことになる」

「このような事件にパターンがあるかどうかは、どちらの側に立っているかによるものだよ。クリスチャン・ホーナー(レッドブル/チーム代表)は、トト・ウォルフとは違った見方をしているはずだ」

そう語ったオーストラリア出身のマシは次のように付け加えた。

「しかし、私はこういうゲームに加わるつもりはないよ。2人のトップドライバーによる魅力的なタイトル争いが行われているんだ。そのことに注目していこうじゃないか」

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