NEXT...F1開催スケジュール

【F1ハンガリーGPレポート】1周目から大荒れの中、角田裕毅が7位入賞!オコンF1初優勝を助けたアロンソ対ハミルトンの手に汗握るF1王者対決

2021年08月02日(月)4:50 am

F1第11戦ハンガリーGP(ハンガロリンク)で、また新たなF1優勝者が誕生した。24歳のエステバン・オコン(アルピーヌ)だ。

●【2021年F1第11戦ハンガリーGP】決勝レースのタイム差、周回数、ピット回数

前日までの猛暑とは打って変わって、レース30分前から雨が降りだしたハンガロリンク。スタート時も雨は止むことなく、全車が小雨用のインターミディエイトタイヤを選択した。この時点で波乱の予感がした。

■スタート直後の多重クラッシュ

混乱はターン1で起こった。ポールポジションからスタートしたルイス・ハミルトン(メルセデス)は、ターン1を難なくすり抜けレースをリードした。

しかし、2番グリッドからスタートしたバルテリ・ボッタス(メルセデス)が大きく出遅れ、順位を落とす。そしてターン1のブレーキングポイントを見誤り、フロントタイヤをロックさせながら前に出ていたランド・ノリス(マクラーレン)に真っ直ぐ突っ込んでしまった。

突っ込まれたノリスは押し出される形で、左前方にいたマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)のサイドに激突。フェルスタッペンは右サイドのフロアやサイドポンツーン周辺を損傷し、大きく順位を落としてピットに向かった。また、このクラッシュにセルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)も巻き込まれ、ダメージが大きかったことから途中でクルマを止めてリタイアを選択した。

ターン1では、すぐ後ろでも別の多重クラッシュが発生。12番グリッドからスタートしたランス・ストロール(アストンマーティン)はイン側を走行していたが、ボッタスと同じくブレーキングポイントを遅らせすぎてしまい、前車に突っ込みそうになったところをイン側の芝生に逃げたが勢いは止まることなく、ターンインしていたシャルル・ルクレール(フェラーリ)に突っ込んでしまった。

突っ込まれたルクレールのすぐ近くを走っていたダニエル・リカルド(マクラーレン)も玉突き事故のようになり、くるりと180度回転してしまう。

2つの大きな多重クラッシュが発生したことで、ターン1には多くのデブリが散乱し、大混乱。中団勢は他にも影響を受けたドライバーもいれば、うまくすり抜けて大きく順位を上げた後方グループもいて、順位は大きく変わった。

1周をした時点で、16番グリッドからスタートした角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)は5番手に上がっていた。他には、10番手スタートのセバスチャン・ベッテル(アストンマーティン)が3番手、15番手からスタートしたカルロス・サインツ(フェラーリ)が4番手、18番手スタートのニコラス・ラティフィ(ウィリアムズ)が6番手と、この順位を見ればどれだけ荒れたかが分かるだろう。

その後、レースはセクター1の黄旗から赤旗に変わり、レースは一時中断。全車ピットレーン上で整備が可能になった。

フェルスタッペンは赤旗が出る前にピットインしてパーツ交換などを終えていたため、13番手まで落ちていたのは痛かったが、こればかりは仕方のないことだ。再びピットに戻ったフェルスタッペンの右サイドを見ると、フロアやバージボード、サイドポンツーン周辺に大きなダメージがあったが、さすがにピットレーン上でそこまでの修復は不可能なので、接着剤やテープなどで応急処置をすることになった。

■再スタートは1台のみ

その後、セーフティーカー先導でグリッドに並んだが、なんとハミルトンを除く全車がグリッドに着かずに、再びピットインしてインターミディエイトタイヤからドライタイヤに変更。グリッドにはハミルトン1台のみが着いて再スタートが切られるという異例の光景となった。

しかし、ハミルトンも翌周にピットインしてドライタイヤに変更。メルセデス・チームの判断ミスだった。これにより、ハミルトンは最後尾まで落ちてしまった。ハミルトンは抜きにくいサーキットで順位を取り戻していくが、なかなか抜けないのがハンガロリンクだ。1台ずつ丁寧に抜いていくが、他のクルマに引っかかることでタイムも伸びず、ダーティーエアーの中ではなかなか差が縮まらない。

再スタート後、ずっとトップを走っていたのがエステバン・オコン(アルピーヌ)、2位を走っていたのがセバスチャン・ベッテル(アストンマーティン)だった。ベッテルが37周目にタイヤ交換をすると、オコンは38周目にタイヤ交換してトップを守る。その間に2周だけトップに立ったのはフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)だった。しかし、そのアロンソも40周目にタイヤ交換して、5番手でコースに復帰。その時、1つ前にいたのがハミルトンだった。

ここからアロンソはペースを上げてハミルトンに近づくが、48周目にハミルトンがピットインしてタイヤ交換をしたことで両者の順位が入れ替わった。4番手アロンソ、5番手ハミルトンだ。

そしてここから今日のハイライトの1つとも言えるアロンソとハミルトンの激しいバトルが始まった。最初にバトルが始まったのは55周目のターン1だった。ハミルトンが仕掛けるものの、アロンソが巧みに守る。ここから「さすがアロンソ!」とうなるほどのハイレベルな戦いが繰り広げられた。

2007年、2人はマクラーレン時代にチームメート同士だった。ハミルトンがF1デビューした当時は、アロンソが2年連続のF1王者としてマクラーレンへ移籍。アロンソが最も勢いに乗っていた時だった。そこに新人のハミルトンが対等に渡り合い、シーズンを終えてみれば109ポイント同士で同点で終えたのだ。しかも高い順位が多かったハミルトンがランキングでは上位のランキング2位という結果だった。

因縁の関係とも言える2人が10周に渡って素晴らしい戦いを魅せてくれた。

アロンソは絶妙なライン取りで、まるで後ろに目がついているか、ハミルトンの心理状況を完全に読んでいるような走りを見せつつも、自身のタイムアップをしながら走るという超人的な走りを見せた。

通常、ハミルトンのようなチャンピオンが後ろから攻めてくる場合、F1ドライバーと言えどもミラーに映るハミルトンが気になってしまい、ブロックラインを走ることから自身のタイムが伸びない傾向になるのが普通だ。しかしアロンソは、タイムアップをしながらブロックをするという、さすが元チャンピオン!という超人的な走りを見せたのだ。

そして10周もの間、あらゆる場所で何度もハミルトンはアロンソに仕掛けるが、決して接触はしないギリギリのところでクリーンな戦いを繰り広げ、ファンは大興奮。

しかし65周目のターン1、ブロックラインを取りわずかに膨らんでしまったアロンソのミスを見逃さず、後ろのハミルトンが一気に抜き去りこの勝負は決着したが、2人のF1チャンピオンが10周にも渡って素晴らしいバトルを見せてくれた。

その後、ハミルトンは3位表彰台圏内を走っていたカルロス・サインツ(フェラーリ)を2周ほどで料理。次のターゲットは優勝争いをしている2台だ。しかし、残り周回数を考えるとオコンとベッテルに届くのは難しい状況だった。

そして、オコンはもう一人のF1チャンピオンであるベッテルからのプレッシャーにもまったく動じずに素晴らしい走りで初優勝を果たした。惜しくも2位になったベッテルもレース後「オコンは1つもミスをしなかった」と新しいF1スターを褒めたたえた。ハミルトンは2台を猛追したものの、周回数が足りずに3位が精一杯だった。

このオコンの勝利は、チームメートであるアロンソのアシストがなければ達成できていなかったかもしれない。10周のも間アロンソがハミルトンをブロックしたことで、チームメートのオコンはハミルトンの攻撃を受けることなく、初優勝を成し遂げることができた。もしアロンソが他のドライバーのように1周ほどでハミルトンにパスされていたら、オコンはハミルトンの猛追を受けて優勝はなかったかもしれない。アロンソが抑えた10周は、それほど意味のある10周だった。

これで前半の11戦が終了し、F1は4週間の夏休みに入る。この夏休み中は強制的に休暇を取ることになるが、例年だとドライバーの移籍が発表される時期でもある。前半戦最後にミスをしてしまったボッタスはメルセデスに残留できるのか、それともジョージ・ラッセル(ウィリアムズ)にシートを奪われることになるのか。他のサプライズがあるのかも注目だ。

後半戦は8月の最終週、F1ベルギーGPから始まる。

追記:レース後、2位のベッテルが失格となり、2位はハミルトン、3位はサインツとなった。

●【最新ランキング表】ハミルトンとメルセデスがトップ返り咲き!F1世界選手権チャンピオンシップ

前後の記事
最新ニュースをもっと見る  >
TopNewsの最新ニュースが読めるよ!
facebookフォロー Twitterフォロー RSSでチェック