F1のCEOを務めるステファノ・ドメニカリが、近い将来、従来のやり方に替えて恒常的にスプリント予選を実施する可能性があることを認めた。
今季のF1第10戦イギリスGPでは実験的試みとして金曜日に通常の予選、土曜日にスプリントレース方式予選、そして日曜日に決勝を行うというフォーマットが初めて導入された。この新フォーマットは2021年シーズン中に3回開催されることが予定されており、2回目は第14戦イタリアGP(9月12日決勝)で実施されることも正式発表されている。
このスプリント予選方式導入に力を入れているドメニカリは、イタリアの『La Gazzetta dello Sport(ガゼッタ・デロ・スポルト)』に次のように語った。
「一番いいのはどういうことだか分かるかい? ハンガリー(第11戦/8月1日決勝)の金曜日に人々が『すごく退屈だ』と言ってくれることだよ」
イギリスGPの舞台となったシルバーストン・サーキットで初めて行われたスプリント予選を踏まえ、F1関係者の中にはやり方を少し見直す必要もあると考えている者もいるようだ。
だが、ドメニカリはシルバーストンでの週末に関する反応は概して前向きなものだったと語り、次のように付け加えた。
「アメリカでは熱狂的に支持されているよ。アメリカの人たちは競争もショーも大好きだからね」
ドメニカリはさらに、F1チームの首脳陣たちはスプリント予選には「100パーセント賛成」しているとし、次のように続けた。
「我々はついに勇気を出してこれまでとは違うことをやってみた。そしてその姿勢がF1に新規参入する可能性があると考えている者たちに大きく評価されたんだ」
「毎日来てくれる観客たちに違う内容を提供するのはものすごいことだよ。毎日何か重要なことがあるという事実は、プラスアルファの要素になるからね」
「今後は、専門家のコミュニティ、ファン、コメンテーター、そしてもちろんドライバーから寄せられた詳細やフィードバックを分析し、モンツァ(イタリアGP)に向けて修正すべき点を修正し、3回目の実験的導入レースが終わった時点で結論を出し、2022年に向けてどうすべきかを検討することになる」
イギリスGPで初導入されたスプリント予選方式だが、多くの者たちが問題点だと指摘しているのが金曜日に行われる通常形式予選でトップタイムを刻んだドライバーではなく、土曜日のスプリント予選での勝者が記録上正式なポールシッターとなることだろう。
このことに関して質問されたドメニカリは次のように答えている。
「フライングラップによってポールポジションが決まるという概念がF1の歴史の中にある。だが、それが変わることもある」
「ハロに関しても非常に多くの人たちが反対していたが、今ではそれを疑問に思う人は誰もいない」
「また、ドライバーたちがどのように取り組んだかを見ることができたのもよかったよ。私にとっては驚きではないが、彼らは金曜日にロングランを行うことよりもレースをすることの方が好きなんだ」
一方、ドメニカリやF1モータースポーツ担当マネジングディレクターのロス・ブラウンはこれまで、このスプリント予選を来年以降も実施することになっても、それは全てのグランプリではなく数レースに限定され、テニスのグランドスラムのような位置づけにしていくことになるだろうと発言していた。
だが、このほどドメニカリは次のように語り、スプリント予選方式を標準的なフォーマットとして毎レースで実施する可能性も示唆している。
「私の頭の中には、予選レースで盛り上がる特別なイベントを推進したいという思いがある」
「だが、もしもこのフォーマットを常に適用すべきだという確信が持てれば、私は何の反対もしないよ。今年の終わりにそれを評価することになるだろう」
そう語ったドメニカリは次のように付け加えた。
「急ぐ必要はないよ」