F1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)でF1レースディレクターを務めるマイケル・マシが、今後F1グランプリ決勝においてゴール後にマシンの速度を緩めてタイヤを空転させる行為(バーンアウト)を禁止すると示唆したことに対して批判の声が上がっている。
先週末に行われた2021年F1第8戦シュタイアーマルクGP決勝をトップでフィニッシュしたマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)はコース脇のフェンスに登るようにして自分を出迎えたチームメンバーたちの前でバーンアウトを披露し、喜びを表していた。
現在のF1ルールにはバーンアウトを行ってはならないという具体的な項目はないものの、マシはこうした行為は危険を伴うものであるため今後は認められないとコメントしていた。
しかし、かつてブリヂストンのタイヤエンジニアを務めていたキース・ファン・デル・グリントはオランダの『RTL GP』に次のように語った。
「マックスはF1に活気を与えているし、それこそ視聴者が求めているものだ」
「彼のような者たちがいるのがスポーツの醍醐味であり、それをFIAのような組織が止めようとするのは本当に悲しいことだ」
2006年にレッドブルから3レースに出走した経験を持つオランダ出身元F1ドライバーのロバート・ドーンボスも同意見だ。
「チームの仲間たちがフェンスによじ登っているのを見たマックスはかっこよくバーンアウトをやってみせた」
『Ziggo Sport(ジッホ・スポルト)』にそう語ったドーンボスは次のように続けている。
「なぜあれが批判されなくてはならないのか、私にはまったく分からないよ」
「彼はコースの一番端であれをやっていた。だから、完全に安全だったんだ。ああいう形で勝利を祝うことは許されるべきだと思わないかい? とりわけ、レッドブルは自分たちのサーキットで勝利したんだからね」
さらに、かつてマクラーレンやフェラーリで活躍したオーストリア出身元F1ドライバーのゲルハルト・ベルガーも、FIAはチェッカーフラッグを受けた後でファンがクールダウンラップ中にドライバーがこうした形で喜ぶのを見て楽しむための「余地」を設けるべきだと考えている。
「私はあれを見たときに、みんながこのことを話題にするだろうなと思ったよ」
「(FIAの)警告は適切だが、私は概してMotoGPで行われていることが好きなんだ。ライダーたちの何人かはクールダウンラップを本当のショーに変えているからね」
母国オーストリアの『Servus TV(セアヴスTV)』にそう語ったベルガーは次のように付け加えた。
「F1にも、こうしたことを楽しむ余地が少しあってもいいはずだよ」