レッドブル首脳のヘルムート・マルコ(モータースポーツアドバイザー)が、ホンダは今年限りでF1から撤退するという決定を覆すことはないと断言した。
最近、メディアではあまり大きく取り上げられてはいないものの、2025年に導入予定の次期F1エンジンレギュレーションに関する検討が現在水面下で進められている。
伝えられるところによれば、F1では今年の夏までに新ルールを策定したいと望んでいるようだが、バイオ燃料の使用や、よりハイブリッド特性が増強されることが重要なポイントになっていることから、2025年から使用されることになるF1エンジンが大幅に重くなるのは避けられないと考えられているようだ。
しかし、こうした中、F1のステファノ・ドメニカリCEOは次のように語った。
「新しいエンジンによってクルマの重量が増加するようであってはならない」
また、FIA(F1統括団体の国際自動車連盟)会長を務めるジャン・トッドもドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』に次のように語っている。
「クルマ(F1マシン)は年々重くなってきている。我々はそのことについて話し合いを行っているところだ」
「必要のない技術がないかどうかを確認するべきだ。最終的には、我々はドライバーによって違いが生じることを望んでいるわけだからね」
しかし、新エンジンは現在世界で急速に進みつつある「環境問題対応」のペースに追いつく必要があると主張しているF1エンジンメーカーもある。メルセデスF1チームを率いるトト・ヴォルフ(チームCEO)は次のように語っている。
「2030年までには誇ることができるエンジンになっていなければならない」
さらに、新F1エンジンに関しては、そのコストがどの程度のものになるのかというのも大きな課題だ。
F1エンジン開発・製造に莫大なコストがかかることから、2015年にエンジンサプライヤーとしてF1復帰したホンダ以降、新たなエンジンサプライヤーはF1に登場していない。
F1エンジンの技術が市販車の開発においても十分に利用可能なものであり、それにかかるコストも妥当なものであれば、新たな自動車メーカー、もしくはエンジンメーカーがF1に参戦する可能性も出てくるだろう。
ヴォルフは次のように付け加えている。
「新しいメーカーが参入してくれることを期待しているよ」
一方、2021年のF1は、現時点においてはホンダF1エンジンを搭載するレッドブルが現チャンピオンチームのメルセデスをリードしている。もしもホンダがこのまま2021年のF1タイトル獲得に成功すれば、2022年以降もF1活動を継続する可能性もあるのではないかと期待する声もあるようだ。
しかし、マルコはホンダの決定が覆されることはないと主張している。
「日本人(ホンダ)が決定を変えることはないよ。そんなことをすれば面目丸つぶれだからね」
そう語ったマルコは次のように付け加えた。
「ホンダは今後2年間、有償で我々をサポートしてくれる。そして、その後我々は自分たちでエンジンを用意することになるよ」