「ウィリアムズを現代のF1の基準に適応させるには全面的なオーバーホールが必要だ」
そう主張したのは批判的なメディアなどではなく、ウィリアムズのテクニカルディレクターを務めているフランソワ-グザヴィエ・ドゥメゾンだ。
“FX”という呼び名で知られるドゥメゾンはかつてフォルクスワーゲンで活躍していたエンジニアであり、同じくフォルクスワーゲン出身で現在ウィリアムズのチームCEOを務めているヨースト・カピートから誘われて今年の3月にウィリアムズのテクニカルディレクターに就任している。
ウィリアムズでは2017年に前年までメルセデスの技術責任者であったパディ・ロウをチーフテクニカルオフィサーとして獲得。しかし、それにもかかわらずウィリアムズの低迷は一層深刻なものとなり、ロウは2019年シーズン途中でチームを離れている。
それ以来、ウィリアムズの技術責任者のポジションは空席となったままだったが、昨年ウィリアムズを買収したニューヨークを拠点とする民間投資会社ドリルトン・キャピタルがカピートを招き入れてチーム改革に着手。そしてカピートがその右腕としてドゥメインを獲得し、技術部門の柱として据えたのだ。
だが、そのドゥメゾンはウィリアムズで仕事を始めてからというもの、現在のチームが抱えている抜本的な問題に頭を悩ませ続けてきたようだ。
ドゥメゾンはフランスの『Auto Hebdo(オト・エブド)』に次のように語った。
「グローブ(ウィリアムズ本拠地)では多くの人たちが長い間ずっと一緒に働いてきた。だから、あらゆることが彼らのために造られているんだ」
「外部から来た者として、効率を重視してその隙間を埋めていくのは私にとっては簡単なことだったよ。過去を消すことなく、変えるべきことがたくさんあるんだ」
「20年も同じことをしてきているわけだから、これを変えなければならない。20年前にうまくいったことはもはや通用しないんだ。特にF1ではね」
「大きな問題は、ウィリアムズがF1と同じペースで進化していないことだ。このスポーツは非常に複雑になってきた。だが、その複雑さを利用してお互いを守っている者たちもいるようだ」
「そのような者たちにとっては、文化が大きく変わることになる」
「経験は重要だし、買えるものでもない。それでも、それは賢く使わなければならない。いろいろな意味で、ウィリアムズはアイルトン・セナの死の影を引きずっているのだと私は思っている」
そう語ったドゥメゾンは次のように付け加えた。
「グローブにおいては、クルマは速さよりも安全の方が重要だと考えている。だが、実際にはその両方を兼ね備える必要があるんだ」