レッドブルのチーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーが、先週末にポール・リカール・サーキットで開催された今季のF1第7戦フランスGPでマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)がメルセデスに勝ったのは搭載するホンダF1エンジンが改良されたことによるものではないと主張した。
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実際のところ、ホンダはフランスGPにおいて、すでに第2戦エミリア・ロマーニャGPで2基目の主要エンジンコンポーネントを投入していた角田裕毅を除き、レッドブルのマックス・フェルスタッペンとセルジオ・ペレス、そしてアルファタウリのピエール・ガスリーに今季2基目となるICE(内燃機関)、TC(ターボ)、MGU-H(熱エネルギー回生システム)、MGU-K(運動エネルギー回生システム)を投入していた。
メルセデスF1チームを率いるトト・ヴォルフ(チーム代表)は、フランスGP決勝後にフィンランドのテレビ局『MTV』に次のように語った。
「彼ら(レッドブル・ホンダ)はエンジンによって飛躍的な進歩を遂げたよ」
Horner rubbished the claim.
しかし、ホーナーは新型コロナウイルス感染症covid-19の蔓延により開発に一定の制限が加えられていることに言及しながら次のように主張した。
「我々はエンジンには何も改良を加えられないんだ。だから、彼が何を言っているのか分からないよ」
「我々はより薄いリアウイングを使っており、それによってストレートでのスピードがよかったんだ。ホンダは素晴らしい仕事をしているが、馬力はまったく増えてはいなかったよ」
理由は何であれ、現F1チャンピオンのルイス・ハミルトン(メルセデス)がレッドブルの進歩に驚いたのは確かだ。
「彼らは突然ストレートでコンマ3秒も速くなっていたよ」
そう語ったハミルトンは次のように付け加えた。
「それがリアウイングだけによるものだったのか、あるいは何かほかの理由があったのか、分析する必要があるね」
2022年にはこれまでとは大きく異なる技術レギュレーションが導入されることから、多くのF1チームは2021年型F1マシンの開発よりもすでに2022年型マシン開発の方に注力しているという現状がある。
一方で、今シーズンがF1タイトル獲得の最大のチャンスだと考えているレッドブルでは2021年型マシンの開発もこれまでと同じように進めているという違いがあり、それがメルセデスとの差を生んでいるということは十分に考えられることだろう。
「我々は100パーセント来年に焦点を合わせているよ」
イタリアの『Corriere dello Sport(コリエーレ・デロ・スポルト)』にそう認めたヴォルフは次のように付け加えている。
「これからもたくさんのシーズンがやってくることを忘れてはならないよ。だからこそ、今シーズンは空力ではなくセットアップとタイヤワークに注力しているんだ」
ポール・リカール・サーキットで行われたフランスGP決勝では、ポールポジションからスタートしたフェルスタッペンがコーナーを曲がりきれずにハミルトンにトップの座を奪われてしまったものの、その後フェルスタッペンはタイヤ交換のためのピット戦略でハミルトンをアンダーカットして首位を奪い返すことに成功していた。
ヴォルフも、ハミルトンが十分に首位の座をキープできると考えていただけに、これはショックだったようだ。
「我々はその部分も改善を続けていかないとならないね」
そう認めたヴォルフは次のように付け加えている。
「だが、我々には堅実なレースカーがあったし、エキサイティングなレースを見ることができたのをうれしく思っているよ」
今週末と来週末にはレッドブルのお膝元であるレッドブルリンクで第8戦シュタイアーマルクGP(27日決勝)と第9戦オーストリアGP(7月4日決勝)が連続開催されることになる。
そして、ハミルトンはレッドブルが所有するサーキットで逆襲に転じたいと考えている・
「あそこはパワーが物を言うサーキットだ。すごく長いストレートがあるし、(フランスGPと)似たような形になる可能性もあるよ」
「さらに調整や改良ができるかどうかを確認するために3日を使うことができる」
そう語ったハミルトンは次のように付け加えた。
「もしかしたら、すべてを最大限に持っていければ、彼らを必死にさせることができるかもしれないよ」