フェラーリのF1チーム代表を務めるマッティア・ビノットが、先週末に行われたF1モナコGP予選でクラッシュしたシャルル・ルクレールのF1マシンのギアボックスを交換しなかったのは敢えて大きなリスクをとってギャンブルに出ていたわけではないと主張した。
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モナコGP予選Q3で暫定ポールタイムを刻んでいたルクレールは、最後のアタックでミスを犯してクラッシュ。マシンの右リアタイヤが明らかにウォールに当たっており、ギアボックスへのダメージが心配されていた。
結局、このルクレールのクラッシュで予選は赤旗のまま終了時刻を迎え、ルクレールのポールポジションが確定。しかし、ギアボックスへのダメージが懸念されたことから、フェラーリには5グリッド降格を覚悟の上でギアボックスを交換する選択肢もあると考えられていた。
事実、ビノットは予選が行われた土曜日には、わずかでもギアボックスのダメージが疑われる場合には安全策をとって5グリッド降格ペナルティを受けてもそれを交換するつもりだとコメントしていた。
しかし、フェラーリではエンジニアたちによる入念な検査の結果、ギアボックスには何のダメージもないと判断。ルクレールはギアボックスを交換することなく、ポールポジションからレースをスタートすることになった。
ところが、ルクレールがグリッドにつくためのレコノサンスラップに出たところ、すぐにマシンにトラブルが発生。ルクレールのマシンはガレージに戻され、そのまま再びモナコ市街地コースにその姿を現すことはなかった。
「(レコノサンスラップで)ターン6まではその問題はなかったんだ」
テレビ局『Sky Italia(スカイ・イタリア)』にそう語ったビノットは次のように付け加えた。
「我々はギアボックスに関しては何のリスクもとらなかった。もし交換していたとしても、それでもその問題は発生しただろう」
実際のところ、ルクレールのマシンに起きたトラブルはクラッシュした右側ではなくマシンの左側のディファレンシャルが原因だったという。
「何が起きたのかこれから完全に調査する必要がある」とビノットは続けた。
「だが、トランスミッションのトラブルではなかったんだ。ドライブシャフトと左のホイールの間で何かが壊れたんだ」
「トランスミッションに関しては昨夜徹底的にチェックして組み立て直していたから、それには問題はなかったと考えている。問題が起きたのは衝撃を受けたのとは逆の方だった。だからあのクラッシュとは関係のないものだったんだ」
ビノットはそう語ると次のように付け加えた。
「しかし、これからそれを分析する必要がある。実際に何が起きていたのかという質問にはまだ明確に答えることはできない」