アルピーヌF1チームの最高責任者が、2022年にピエール・ガスリー(アルファタウリ)と契約を結ぶのではないかとの噂を否定した。
フランス出身ドライバーであるガスリーはレッドブルの育成ドライバーとしてジュニアチームのトロロッソでF1デビューを飾り、その後2018年にはレッドブルに昇格していた。だが、チームメートのマックス・フェルスタッペンのパフォーマンスについていくことができなかったガスリーはシーズン前半でそのシートを失い、再びトロロッソに降格されていた。
しかし、トロロッソに戻って2019年シーズンを迎えたガスリーは再び調子を取り戻し、チーム名がアルファタウリと変わった2020年には自身初のF1優勝を飾る活躍を見せている。
そのガスリーの希望は、もちろんトップチームであるレッドブルに返り咲くことだ。だが、最近、レッドブルのドライバープログラム責任者であるヘルムート・マルコが再びガスリーをレッドブルF1マシンに乗せるつもりはないと示唆するコメントを行うなど、ガスリーにとっては必ずしもレッドブルにおいて明るい将来が約束されている状況とはなっていないようだ。
こうした中、ガスリーが母国フランスのF1チームであるアルピーヌへの移籍を視野に入れているようだとの噂もささやかれるようになっている。
だが、このほどアルピーヌのCEOを務めるローラン・ロッシが、2022年も現行ドライバーラインアップを継続する意向であることを明らかにした。
「来年に向けてほかのドライバーを検討したりはしていないよ」
今季のF1第5戦が開催されているモナコでそう語ったロッシは次のように続けた。
「現時点では、エステバンを考えている。フェルナンド(アロンソ)は来年も我々と共にここにいる。今の勢いを継続し続けようとするなら、そのコンビで行くことになるだろう」
「ピエールが価値ある素晴らしいドライバーなのは確かだ。しかし、現時点ではあり得ないね」
実際のところ、ガスリーと同じくフランス出身のオコンは、今季ここまでのところ3年ぶりにF1復帰したアロンソをしのぐパフォーマンスを発揮してみせている。
「私はそのことを驚いてはしていないよ」
そう語ったロッシは次のように付け加えた。
「彼が素晴らしい才能の持ち主であることは分かっていたし、それが示されているだけさ。彼本来の力が発揮できていると思うし、それはいいことだよ」
だが、24歳のオコンはメルセデスの育成ドライバーであり、アルピーヌにはレンタル移籍のような形で所属している状態だ。仮にメルセデスがオコンを自分たちのチームで走らせると決断すれば、当然アルピーヌはオコンを失うことになる。
とは言え、オコンが近いうちにメルセデスのシートを獲得できるチャンスはそれほど大きくはないだろう。現在はルイス・ハミルトンとバルテリ・ボッタスのコンビがうまく機能していると言っていい状況だが、それに加えて2022年には現在ウィリアムズで走っている育成ドライバーのジョージ・ラッセルをボッタスの後任として起用する可能性もあると考えられている。
こうした中、メルセデスを率いるトト・ヴォルフ(チームCEO兼代表)は最近、オコンは2022年もアルピーヌのシートを得るにふさわしい活躍をしていると語り、2022年もオコンをそのままアルピーヌで走らせたいという意向を持っていることを示唆している。
「トトがそう言ってくれたのは非常にありがたかったよ」
ロッシはそう語ると次のように付け加えた。
「現在、我々はすでに彼(オコン)の代理人やマネジメントチーム、メルセデスとの間で会話を進めているよ」