2021年シーズンに向けて行われたF1技術ルールの変更は自分たちを不利な状況に置くための不当なものだったと主張し法的手段に訴える可能性も示唆していたアストンマーティンだが、どうやらそれは断念したようだ。
カナダの大富豪として知られるローレンス・ストロールがオーナーを務めるアストンマーティンだが、チーム代表を務めるオットマー・サフナウアーは2021年に行われた空力レギュレーション変更はメルセデスや自分たちのようにレーキ角(車体の前傾角度)が小さいF1マシンを不利にすることが目的とされたものだったと主張していた。
しかし、このほどドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』が報じたところによれば、アストンマーティンは「往生際の悪い敗者」だと見なされることのないよう、これ以上この件で争うことでことをあきらめたという。
サフナウアーはこれについて次のように語っている。
「我々としてはルール作りの過程ですべてが正しく行われたかどうかをFIA(F1統括団体の国際自動車連盟)に確認したかっただけだ」
アストンマーティンと技術提携契約を結んでおり、同様の空力コンセプトを持つメルセデスも今季はかなり苦戦を強いられる状態となっている。
だが、メルセデスのジェームズ・アリソン(テクニカルディレクター)は今回のルール変更について次のように語っている。
「どのようにダウンフォースを減らすかについては我々全員が合意していた」
「また、それがすべてのチーム、すべてのコンセプトに等しく影響を与えるかどうかについても自問していた。それはもちろんライバルたちが利益を得る恐れもあったからだ」
マクラーレンのテクニカルディレクターを務めるジェームズ・キーも、実際にシーズンが始まって、自分たちが遅いことが分かってから文句を言うのは筋違いだと考えている。
「チームたちは、検討されたすべての提案の中でアンダーボディを使ったものが最もよく、最も安全であるという意見で一致したんだ」
「リアウイングを小さくすることもできたが、誰もそれは望まなかった」
そう語ったキーは次のように付け加えた。
「もし自分たちにとって大きなデメリットになると気付いていた者がいたなら、その時に言うことができたはずだよ」
最近F1チーム関係者たちが一堂に会して行われたF1技術委員会において、ほとんどのチームがアストンマーティンの姿勢に批判的だったとも伝えられており、それがアストンマーティンが法的手段に訴えることをあきらめさせる決定的要因となったと考えられているようだ。