昨シーズンまでハースに所属していたロマン・グロージャンが、過去10年にわたって走ってきたF1マシンに比べて、インディカーの運転は「より身体的負担が大きい」と語った。
2020年のF1第15戦バーレーンGP決勝で起きた大クラッシュから奇跡的とも言える生還を果たしたグロージャンだが、今年はアメリカに渡りインディカー・シリーズに参戦することになっている。
その開幕戦を今週末に控えたグロージャンは、母国フランスのテレビ局『Canal Plus(カナル・プリュ)』に次のように語った。
「F1とインディカーの最大の違いはパワーステアリングがないことだね。それによってフィーリングがかなり違ってくるんだ」
「F1よりもインディカーの方が腕にかかる負担やコックピット内の熱気など、より身体的にきついと感じているよ」
「明らかに首は少し楽だよ。Gフォースが少し少ないからね。だけど、クルマの動きはもっと大きいんだ。実際のところ、タイヤにはかなり感心しているよ」
「ずっと自制しておく必要もないし、思いっきり攻めることができて楽しめるんだ」
現在のインディカーにはレッドブルが開発した「エアロスクリーン」と呼ばれるコックピット保護システムが装備されている。これはF1が使用しているハロと風防を組み合わせたようなものだ。
昨年のクラッシュではハロによって命が救われたと言っても過言ではないグロージャンだが、インディカーのエアロスクリーンにもすぐに適応することができたという。
「誰もがそれについて僕に聞いてくるんだけれど、結局のところ違いはほとんどないよ。それがあることを意識することさえないよ」
「唯一違うのは、プラクティスセッションが終わったときにバイザーやヘルメットをきれいにする必要がないことだね」
微笑みを浮かべながらそう語ったグロージャンは次のように付け加えた。
「このクルマを運転するのはすごくクールだし、まだ学ぶことはたくさんあるよ。速く走るためにはF1とはかなり違う運転をする必要がある。だけど、いろいろなことが理解でき始めているし、いいスタートが切れると思っているよ」
今年はデイル・コイン・レーシングからインディカーにエントリーする34歳のグロージャンだが、当面はロードコースやストリートサーキットに限定して出走することになっている。そして、オーバルコースでは現在ハースのリザーブドライバーを務めているブラジル人ドライバーのピエトロ・フィッティパルディがグロージャンに代わってステアリングを握る予定となっている。
グロージャンや日本人ドライバーの佐藤琢磨らが参戦する2021年のインディカー開幕戦「ホンダ・インディ・グランプリ・オブ・アラバマ」は現地時間18日15時30分(日本時間19日4時30分)に決勝がスタートする。