アルファタウリを率いるフランツ・トスト(チーム代表)の目には、アストンマーティンの2021年型F1マシンは「それほどよくない」と映ったようだ。
●【F1第1戦バーレーンGP】決勝レースのタイム差、周回数、ピット回数
技術提携契約を結んでいるメルセデスからエンジンだけでなくいくつかのパーツの供給を受けているアストンマーティンだが、レーシングポイントと呼ばれていた2020年には中団グループでトップ争いができるほどのパフォーマンスを発揮していた。
そして、昨年限りでフェラーリのシートを失った4度のF1ドライバーズタイトル獲得記録を持つセバスチャン・ベッテルが加わったことで2021年にはアストンマーティンがさらに強さを発揮するのではないかとも考えられていた。
しかし、アストンマーティン2021年型マシンに技術トラブルが発生したこともあり、開幕戦の2週間前に行われたプレシーズンテストではあまり走り込むことができなかったベッテルは、開幕戦バーレーンGPでもまったくと言っていいほどいいところが見られなかった。
「クルマに馴染めていないんだ。いろいろなものが邪魔をしてくるし、運転に集中できていないよ」
バーレーンGP決勝後に母国ドイツのテレビ局『RTL』にそう語った33歳のベッテルは次のように付け加えた。
「対処しなくてはならないことが山ほどある。ライバルたちの中には僕たちより2秒も速いところもあったからね」
フェラーリでは近年苦戦が続いていたベッテルだが、昨年はセルジオ・ペレス(現レッドブル)を勝利に導いたこともあるマシンを手にしたことでベッテルが今年のダークホースとなり、場合によっては通算5回目のタイトル獲得を狙うことも可能となるかもしれないとの声すら聞かれていた。だが、少なくとも開幕戦を終えた時点では、その可能性はほとんどなさそうにさえ見える。
こうした中、トストは、『AvD Motorsport Magazin(AvDモータースポーツ・マガジン)』に次のように語った。
「理論と現実は別物だからね」
「現実は、あのクルマはそれほどよくはないよ。リアエンドが非常に不安定だ」
だが、トストはかつてトロロッソに所属していたベッテルが再び本来の速さを取り戻すための時間はまだあると考えている。
「彼はその経験によってチームを前進させることができる」
トストはそう語ると次のように付け加えた。
「彼はレースの勝ち方やF1タイトルの取り方を知っているわけだからね」
実際のところ、今年3年ぶりにF1復帰を果たした39歳のフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)の方がベッテルよりも堅実なパフォーマンスを見せたのは確かだ。
そのアロンソは、まだゆっくりとF1のスピードに再び自分を慣らしているところだとしている。
「チームを変えたカルロス(サインツ/フェラーリ)、ダニエル(リカルド/マクラーレン)、ベッテルにはもっと時間が必要だと思うよ」
『DAZN』にそう述べたアロンソは次のように付け加えた。
「ベッテルにはまだ慣れる必要があるし、リカルドもブレーキに慣れようとしているところだ。そしてカルロスもいくつかのレースでは100パーセントの力を発揮できないだろう。だから、2年半も離れていたらどうなるか想像してみてよ」