2021年F1開幕戦バーレーンGPは現F1チャンピオンであるルイス・ハミルトン(メルセデス)が勝利を収めた。ポールポジションからスタートしたもののピット戦略でハミルトンに先行を許していたレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンもレース終盤に激しくハミルトンを追い上げたものの、あと一歩が届かなかった。
●【F1第1戦バーレーンGP】決勝レースのタイム差、周回数、ピット回数
レッドブルを率いるチーム代表のクリスチャン・ホーナーは、レースの結果は残念だったものの、今後に向けての手応えが得られたのは確かだとレース後に次のように語った。
「今週末の本当の勝者はファンたちだったと言えるだろう」
「厳しいがフェアなレースだった。メルセデスをここまで追い込むことができたのはタイトル争いに向けてのよい兆候だよ。トト(ヴォルフ/メルセデスF1チーム代表)は過去7年にわたって非常に楽にタイトルを手にしてきたが、そろそろ誰かが彼に本当に挑戦する時だ」
実際のところ、ハミルトンとフェルスタッペンに次ぐ3位で今年の開幕戦を終えたバルテリ・ボッタス(メルセデス)も、今年のレッドブル・ホンダF1マシンは脅威だと次のように語っている。
「レッドブルの空力哲学が高いレーキ角にあるのは確かだ。でも、彼らは全体として本当に強いパッケージを手にしているよ。パワーユニットもシャシーも空力も優れている」
「彼らは冬の間にいい仕事をやってきた。僕たちももっといい仕事をする必要があるね」
一方、バーレーンGP決勝の終わり方に関しては疑問の声があるのも確かだ。それは、フェルスタッペンがコースの外側にマシンをはみ出させる形でハミルトンをオーバーテイクしたことに対しレース競技委員がトラックリミットに違反するものだったとしてハミルトンを前に出すよう指示を出したことに対するものだ。
その指示に従ってハミルトンを前に出したものの、結局再びオーバーテイクすることができなかったフェルスタッペンがその裁定に不満だったのは確かだ。
しかし、フェルスタッペンと同じオランダ出身の元F1ドライバーであるロバート・ドーンボスは『Ziggo Sport(ジッホ・スポルト)』に次のように語った。
「もちろん、勝利する場面を見たかったよ」
「だが、あのときの状況は、フェルスタッペンはディファレンシャルに問題を抱えていたが、それでも2位という素晴らしい結果を残したんだ」
ともあれ、バーレーンGP決勝での勝敗を決した大きな要因はメルセデスがとった攻撃的なピット戦略だったと言ってもいいだろう。
ヴォルフは、ハミルトンがその戦略を「正確に」やってのけたと賞賛し、次のように続けている。
「1周の速さにおいては、我々はバランスの問題に苦しんでいた。だが、レースペースでの走行では我々のクルマの挙動はもっとニュートラルなものになるんだ」
こうした中、F1関係者の多くが、今年通算8回目のF1ドライバーズタイトル獲得に挑戦することになるハミルトンの戦いは楽なものにはならないだろうと考えている。
そして、ハミルトン自身も今年はかなり厳しい戦いを強いられることになるだろうと認め、次のように続けた。
「それはファンが長いこと待ち望んでいたものだと思うよ」
「彼ら(レッドブル・ホンダ)には速さがあるし、何度も僕たちよりも前に出るかもしれない。まだ先は長いし22レースも残されているんだ。シーズンが終わるころには僕は白髪になっていると思うよ」
ヴォルフもハミルトンと同意見のようだ。
「レッドブルは過去何年かにわたってシーズン開始時には最強のチームではなかったし、バーレーンでは彼らは苦しむことも多かった」
「今では、彼らが最高のクルマを手にしている」
ヴォルフはそう語ると次のように付け加えた。
「シーズンを通して彼らをねじ伏せることは非常に困難になるだろうと私は確信しているよ」
ハミルトンは、そうした状況の中で今年の開幕戦で勝利できたことはよかったと次のように付け加えている。
「彼らはすごく速いし、マックスの状態も最高だ。彼らのクルマも素晴らしいし、エンジンもすごくパワフルだ。こういう要素を考慮に入れれば、この結果を達成できたのはすごくうれしいよ」