メルセデスがF1の世界に新たな技術革新をもたらすことになるかもしれない。
ついに2021年F1シーズン開幕を迎えた今週末だが、バーレーンで2週間前に行われたプレシーズンテストの様相からは、レッドブル・ホンダが現チャンピオンチームであるメルセデスよりも上に位置しているものと考えられている。
「正直な話、僕もそう思うよ」
昨年通算7回目のF1ドライバーズタイトル獲得を達成したメルセデスのルイス・ハミルトンはベルギーのテレビ局『RTBF』にそう語ると次のように続けた。
「今のところ、彼らの方が僕たちよりも速いように見えるね。それがどのくらいなのかはまだ分からない。そしてアルファタウリやマクラーレンなど、ほかのチームたちもすごく調子がよさそうだ」
メルセデスのチーム代表を務めるトト・ヴォルフもオーストリアの『Kronen Zeitung(クローネン・ツァイトゥング)』に次のように語っている。
「間違いなく、今は我々が最強ではない」
「7回の選手権タイトルを含め、これまでのすべてをゼロにすれば、レッドブルが最も速いマシンを手にするであろうことは間違いないよ」
「だが、それはこのまままでいいという意味ではない。我々は全力で自分たちを守るつもりだ」
そう語ったヴォルフだが、現時点ではまだ2021年型F1マシンの力をフルに発揮できるところにまでは至っていないと認めている。
「マシンは非常に繊細で、リアが不安定なんだ」
「フロアを削ったことにより、タイヤの周りに向かう空気の流れが乱れるんだ。レッドブルのようにレーキ角が大きいクルマは我々のものよりもそうした現象が小さいようだね」
しかし、ヴォルフもプレシーズンテストでは手の内を見せないようにすることが多いのは確かだと認めている。
2020年にはドライバーがステアリングを前後に動かすことでフロントタイヤのトー角を変えることができるDAS(Dual Axis Steering)という革新的システムを投入してF1界を驚かせたメルセデスだが、今年もまた新たな革新技術を用意しているようだ。
「我々がクルマに装着しようと思っているものはまだお披露目していないんだ。ありがたいことに、まだ革新の余地はあるし、それは常にうれしいものだよ」
フランスのテレビ局『Canal Plus(カナル・プリュ)』にそう語ったヴォルフは次のように付け加えた。
「我々は毎日少しずつ違うことに取り組んでいるんだ。それによってクルマのスピードに大きな違いを生むかどうかは分からないが、うまくいけばうれしいね」