セバスチャン・ベッテルが、自分にはF1でさらにレースで勝利するだけでなく、5回目のドライバーズタイトルを獲得する力さえあると主張した。
昨年限りでフェラーリのシートを失ったベッテルは、今季はアストンマーティンで新たな挑戦を開始することになる。
しかし、F1関係者やファンの中には、レッドブルで2010年から2013年まで4年連続でF1チャンピオンとなったベッテルのF1キャリアはすでに下り坂にさしかかっていると考えている者も少なくないようだ。
バーレーンで2週間前に行われたプレシーズンテストでも、マシントラブルに見舞われて思うように周回できなかったという事実はあるものの、33歳のベッテルはタイム的には今季のレギュラードライバー中最下位の20番手に終わってしまっていた。
しかし、ベッテルと同じドイツ出身の元F1ドライバーであるティモ・グロックは、バーレーンテストでのベッテルには昨シーズンとは明らかに異なる変化が見られたと『Mannheimer Morgen(マンハイマー・モルゲン)』紙に次のように語っている。
「少なくとも、彼は再び上機嫌になれていたようだ」
グロックは、F1ファンは今後再びベッテルが勝利したときに示す“1本指”のジェスチャーを目にすることができるだろうと考えているようだ。
これまでに4度のF1タイトル、優勝53回、ポールポジション57回という実績を持つベッテル自身も自分にはまだ力があると主張している。
「僕にはまだレースで勝つ力が十分にあるし、タイトルだって狙えるよ。与えられたクルマがよければね」
母国ドイツの『Sport Bild(シュポルト・ビルト)』にそう語ったベッテルは次のように付け加えた。
「僕たちのチーム(2020年のレーシングポイント)は昨年惜しくもチーム選手権で3位を逃してしまった。2021年も同じように、あるいはさらに強いことを期待しているよ」
アストンマーティンのチーム関係者は今週末に行われる2021年F1開幕戦バーレーンGP(28日決勝)にはあまり大きな期待はできないと示唆している。
しかし、ベッテルは次のように続けた。
「僕にとって重要なのは、自分への期待度なんだ」
「自分自身への期待度はすごく高いし、それに応えたいと思っているよ」
だが、ベッテルが師と仰ぐミハエル・シューマッハの弟であり、かつてウィリアムズやトヨタで活躍した元F1ドライバーのラルフ・シューマッハは、ベッテルが自身への期待に応えられるようになるには少し時間が必要だろうと考えている。
「彼は素晴らしいシーズンを送るだろうと思うが、テストで問題を抱えたこともあり、開幕戦ではうまくいかないかもしれない」
そう語ったラルフ・シューマッハは次のように付け加えた。
「セブ(ベッテルの愛称)は最善の準備を必要とする人間だからね」