インド出身の元F1ドライバーであるカルン・チャンドックは、メルセデスでは「水面下で何かが起きている」に違いないと考えている。
2010年から2011年にかけてHRTとチーム・ロータスから合計11戦に出走した経験を持つチャンドックだが、現在はイギリスのテレビ局でF1解説者を務める傍ら、ウィリアムズでもヘリテージドライバーを務めている。
そのチャンドックは、2020年にミハエル・シューマッハに並ぶ通算7回目のF1ドライバーズタイトル獲得に成功したハミルトンが今年メルセデスと1年だけの契約しか結ばなかったことに違和感を覚えているようだ。
チャンドック同様現在F1解説者を務めている元F1ドライバーのマーティン・ブランドルは最近、バーレーンで行われた2021年F1公式プレシーズンテストで会ったハミルトンは「不機嫌」な雰囲気を漂わせていたとコメントしていた。
そして、チャンドックもこのほどフィンランドの『STT通信』に次のように語った。
「あそこ(メルセデス)では我々には明かしたくない何かが起きているよ」
「F1チャンピオンがすべてのチームの中で最後に契約するドライバーとなることはあまりないことだし、F1のベストチームのシートが1月まで空いているのも通常はないことだ」
しかし、F1関係者の中には、今回のハミルトンの件は1993年のアイルトン・セナと似たところがあると考えている者もいる。当時セナが所属していたマクラーレンは、1992年限りでエンジンサプライヤーだったホンダがF1から撤退したことで1993年にはフォードエンジンを搭載することになった。
だが、当時ウィリアムズが最強チームとして君臨する中、マクラーレン・フォードのパフォーマンスに期待することができなかったセナはインディカーへの転向を示唆し、実際にインディカーでテスト走行を行うなどしていた。
結局、セナは開幕直前にマクラーレンで走ることを決めたものの、当初は1戦ごとに出走契約を結んでいた。そして第8戦フランスGPでやっとシーズンの残り全戦に出走する契約を結んだという経緯がある。
この年、セナは公然とウィリアムズへの移籍希望を口にしていたほか、マクラーレンにはかなり高額な報酬を要求していたと伝えられている。
チャンドックはそうした見方に関して次のように付け加えている。
「僕はこの状況が似ているとは思わないよ。今回は何もはっきりした説明はなされていないからね」