アルファタウリのチーム代表を務めるフランツ・トストが、バーレーンで行われた2021年のF1公式プレシーズンテストにおいて角田裕毅が早めにDRSを作動していた事実を認めた。
■DRS問題はルーキーゆえのミス?
DRSとはリアウイングの角度を変えて空気抵抗を減らすことで一時的に通常よりもスピードを高めることができるシステムであり、F1サーキットではこれを作動させることが可能となるエリア(DRSゾーン)が指定されている。
だが、バーレーンでのテストでマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)に次ぐ2番手タイムをマークしてみせた角田はこのDRSをDRSゾーンの100~200メートル手前から作動させていたと指摘されている。
この件について『Sky Deutschland(スカイ・ドイチュランド)』から質問を受けたトストは次のように答えた。
「ユウキはまだビギナーなんだ」
「DRSは通常は自動的に作動するものだ。そして彼(角田)はテストの間かなり手前で作動させていた。今後は彼もそういうことはしないよ」
■今年のアルファタウリ・ホンダは何度かトップ5を狙える
とは言え、バーレーンで見せたアルファタウリ・ホンダのペースが非常に有望なのは確かであり、F1関係者の中にはトップチームたちを脅かすような活躍を見せてもおかしくないと考えている者もいるようだ。
しかし、トストはそうした見方に対して次のように語った。
「慎重にならないとね。ほかのチームが燃料をどれほど使用しているのかも分からないんだ。だが、実際のところ我々のクルマはかなりうまく機能しているよ」
「しかし、メルセデスとレッドブルが前にいるのが事実だ。もし彼らがトラブルもなくすべて計画通りに進めば、我々がレースで勝つのは難しいだろう」
「しかし、何度かトップ5フィニッシュすることは可能なはずだよ」
■角田は本物の“怪物”
そう語ったトストだが、調子がいいのは2021年型F1マシンだけではないと主張している。
「ドライバーたちは2人とも調子がいい。特に、ユウキは圧倒的だったよ」
「サーキットで走る彼を見ていたんだが、彼が第1コーナーに向けてブレーキをかけたときには、『なんてこった、あんなに極端に減速できる力はどこから来るんだ?』と思ったよ」
プレシーズンテストで角田が見せたパフォーマンスに言及しながらそう語ったトストは次のように付け加えた。
「ユウキは屈強だよ。あの子は本物の怪物だ。そして、それはいいことだ」
トストはさらに、角田が3日間のセッションを通じて全体の2番手となるタイムをマークしたときには燃料がほぼ空に近い状態だったのではないかとの見方があることに対しても次のように語っている。
「まだ燃料は残っていたよ。少なくともあと10周から15周はできていたはずだ」
■角田はF2王者になれていたはずだとレッドブル首脳
レッドブルのドライバープログラム責任者として知られるヘルムート・マルコも角田の才能を高く評価している。
マルコはドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』に対し、2020年のF2選手権ではミック・シューマッハ(ハース)ではなく角田がチャンピオンになっていてもおかしくなかったはずだと次のように語った。
「技術的なトラブルさえなければ、彼(角田)は簡単にチャンピオンになれただろう」