メルセデスのライバルたちは先週末にバーレーンで行われた2021年F1公式プレシーズンテストでの結果をそれほど真に受けてはいないようだ。
F1がハイブリッド時代を迎えた2014年以降7年間にわたってF1タイトルを独占してきたメルセデスだが、先週末にバーレーンで3日間にわたって行われたF1公式プレシーズンテストでは信頼性やハンドリングの問題を抱えてしまっていた。
F1関係者の中には、今年はF1史上単独トップとなる通算8回目のドライバーズタイトル獲得に挑戦するルイス・ハミルトンがかなり不安を感じているのではないかと考えている者もいるようだ。
だが、メルセデスF1チームを率いるトト・ヴォルフ(チーム代表)は、ハミルトンもチームも不安を感じているようなことはないと主張したものの、テストで問題を抱えていたのは確かだと認め、次のように語った。
「いや、彼はそんなことはないし、我々(チーム)もそうだ」
「私はまだ誰からも驚かされてはいないよ。まだ全て隠されているからね。最初のレース週末で分かることになるだろう」
「だが、我々にはバランスが悪かった理由をつかむ必要がある」
ハミルトンも次のように語っている。
「ルール変更に合わせたクルマのリアがあまりいい感触ではなかったよ」
「だけど、この快活策を見つけようとしているところさ」
先週末のF1公式プレシーズンテストではメルセデスが苦しんでいるように見えたものの、F1関係者の中にはそれはメルセデスがまだ本当の手の内を見せていないだけだと考えている者も少なくない。
プレシーズンテスト最終日をマックス・フェルスタッペンがトップタイムで締めくくったレッドブルだが、チーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーは先週末のテスト結果を鵜呑みにするわけにはいかないと次のように語った。
「2年前のテストでも彼ら(メルセデス)は問題を抱えていた。その後どうなったかは誰もが知っていることだ」
レッドブル首脳のヘルムート・マルコ(モータースポーツアドバイザー)も次のように付け加えている。
「まだメルセデスが持てる力全てを見せたとは思っていないよ。だが、彼らのマシンはかなり神経質に見える」
一方、フェルスタッペンは2021年型レッドブル・ホンダF1マシン(RB16B)は「本来あるべき形で反応するし、それはいいね」と語ったものの、これで油断するわけにはいかないと次のように続けた。
「僕たちが(チャンピオン)有力候補だとは思っていないよ。有力なのはこれまでずっとレースで勝ち、タイトルを獲ってきたチームだ。だから僕から見れば何も変わってはいないよ」
今年マクラーレンからフェラーリへと移籍したカルロス・サインツも、プレシーズンテストで見たことはまだ何の参考にもならないと次のように語っている。
「僕はメルセデスに関しては何も信じていないし、ほかのチームだって同じだよ。まだ(判断するには)早すぎるよ」
また、フェラーリからアストンマーティンへ戦いの場を移したセバスチャン・ベッテルも次のように述べている。
「言えることは、メルセデスが以前やっていたようにものすごく周回を重ねることはなかったということだ。だけど、最初のレースでは彼らがいい位置につけるはずだよ」
一方、今回のバーレーンテストで目を引いたことのひとつは、レッドブル同様2021年シーズン限りでF1活動から手を引くホンダエンジンで戦うセカンドチームのアルファタウリが速さを見せたことだろう。
「エンジンはかなりよくなっています」
ルーキーながらプレシーズンテスト最終日をフェルスタッペンに次ぐ2番手タイムで終えた角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)はそう語ると次のように付け加えた。
「ホンダは昨年に比べて大きな進歩を遂げていますし、特にアタックラップでのパワーには素晴らしいものがあります」
その角田がF1デビューを飾ることになる2021年のF1開幕戦バーレーンGPは26日(金)に開幕し28日(日)に決勝が行われる。
ホンダにとってF1最後の年となるだけに、レッドブル・ホンダ、アルファタウリ・ホンダ、そして小林可夢偉以来7年ぶりの日本人F1ドライバーである角田の活躍に期待したいところだ。