メルセデスF1チームを率いるトト・ヴォルフが、もしニキ・ラウダが生きていればたとえいくら払ってもルイス・ハミルトンと2021年の契約を結べと言ったはずだと語った。
2019年にこの世を去った伝説的元F1ドライバーのラウダは、それまでメルセデスF1チームの非常勤会長としてヴォルフとともにチーム運営に携わっていた。
8日(月)にハミルトンとの契約を1年延長したことを明らかにしたヴォルフだが、ラウダならどうしていたと思うかと質問されるとドイツのテレビ局『RTL』に次のように答えた。
「彼のアドバイスが欲しいと思うような状況にいるときには、ニキがいつも私のそばにいるように感じるんだ」
「だから、私はこう自問するんだ。『ニキなら何と言うだろう?』とね」
「その答えは、ニキは常に2つの帽子を被っていたということだ。ひとつはドライバーの、そしてもうひとつはチームリーダーのね。彼は両方の視点に立つことができたんだ」
「彼ならこう言っただろう。『ルイスは最高のドライバーだし、彼はメルセデスに合っている。金をいくら出してもこのコンビは続けるべきだ』とね」
そう語ったヴォルフは次のように付け加えた。
「いくら出してもという訳にはいかなかったのは申し訳ないが、彼にとってもチームにとっても戦う上でいい将来を手にすることになる」
しかし、2021年の契約締結に非常に時間がかかったこと、さらに今回は1年契約だったということから、ハミルトンとメルセデスの関係が将来的にどうなるかは分からないと考えている者も少なくないようだ。
ハミルトンの父親であり、かつてはマネジャーを務めていたこともあるアンソニー・ハミルトンは、息子はすでにF1以外の将来に目を向け始めており、2021年に単独F1史上最多記録となる通算8回目のドライバーズタイトル獲得を狙うことさえそれほど重要だとは考えていないはずだとしている。
「私は記録が目標だとは思っていないよ」
スポーツ専門ラジオ局である『talkSPORT(トークスポーツ)』にそう語ったアンソニーは次のように続けた。
「彼も年齢を重ねつつあるのは確かだし、人生において何かほかのことをしたいと考えているという現実がある」
「人生にはレース以外のこともある。だが、今のところ彼はもう1年やってもいいと思っているよ」
ハミルトンが結んだ2021年の契約内容に関してはいろいろなうわさがささやかれているが、イタリアの『La Gazzetta dello Sport(ガゼッタ・デロ・スポルト)』は、1年ごとに自動更新されるというオプションが含まれていると報じている。
もしもこの情報が正しければ、今後また交渉が長引くような事態となり、定められた期限までに決着がつかなかったような場合にはメルセデスとハミルトンとの契約が自動的に1年延長されることになりそうだ。