現在F1チームたちは3月12日(金)から始まる公式プレシーズンテスト、そして同28日(日)に決勝が行われる開幕戦バーレーンGPに向けた準備を進めているところだ。
だが、伝えられるところによれば、ハースではまだ2021年仕様のフェラーリエンジンを始動させることができない状況に置かれているようだ。
ハースは2021年シーズンにはフェラーリの育成ドライバーであり2020年のF2チャンピオンであるミック・シューマッハと、ロシア出身ドライバーであるニキータ・マゼピンというルーキードライバーのコンビで戦うことになっている。
ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』によれば、アメリカンチームであるハースがイギリスに構えているファクトリーにはすでにフェラーリから2021年仕様エンジンが届いているのだという。
「エンジンはイギリスに送ることが許されたが、始動させるために必要なエンジニアは認められなかった」
新型コロナウイルスによるイギリス国外からの移動規制に言及した『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』は次のように付け加えている。
「現時点での状況からすれば、エンジンに初めて命を吹き込むことが可能となるのはバーレーンでのテストになりそうだ」
イタリアのダラーラ社の協力を得てシャシーの設計製造を行っているハースはこれまではイタリアにあるダラーラ社の施設でF1マシンの組み立て作業を行ってきていた。だが、今年は初めてイギリスのバンベリーにある自分たちのファクトリーで新車の組み立て作業を行っている。
ハースのチーム代表を務めるギュンター・シュタイナーはこの件について次のように語った。
「今年は、その方が組み立てのために部品をイタリアに送るよりも輸送面で楽なんだ」
実際のところ、現在イギリスではイタリア人旅行者に対して14日間の隔離期間を義務づけている。そして、現在アメリカにいるイタリア出身のシュタイナーもイギリスにある自分のチームのファクトリーを訪れることができない状況となっている。
「もしイギリスに行こうとすれば、私にも2週間の隔離が求められる」
そう語ったシュタイナーは「スポーツ選手に例外が認められるだけだ」と付け加えた。
そのシュタイナーによれば、ハースでは2021年シーズンを迎えるにあたり、2020年型マシンに空力的な微調整を加えてはいるものの“トークン”を利用しての開発は行わないことを決めているという。
「新しいノーズを製造することもできたかもしれないが、もう手遅れだった」
シュタイナーはそう語ると次のように付け加えた。
「(2020年の)9月末となっていた期限までにノーズの準備をするためには、風洞プログラムがあまりにも長期間閉鎖されていたんだ」