レッドブルのドライバープログラム責任者であるヘルムート・マルコが、アレクサンダー・アルボンのF1キャリアはまだ終わったわけではないと主張した。
レッドブルでは2020年シーズンを通じてマックス・フェルスタッペンのチームメートを務めたタイ国籍ドライバーのアルボンに替え、2021年には10年のF1経験を持つメキシコ人ドライバーのセルジオ・ペレスを起用することを決定。
アルボンはいったんレッドブルのテスト兼リザーブドライバーに退くとともに今年はDTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)に参戦することが明らかとなっている。
現在DTMの責任者を務める元F1ドライバーのゲルハルト・ベルガーは、アルボンの参戦を歓迎すると次のように語っている。
「アレクサンダー・アルボンは若くて野心を持ったレーシングドライバーだし、DTMにとっては素晴らしい財産となる」
24歳のアルボンは2021年シーズンには原則として全てのF1レースに帯同し、レッドブルもしくはアルファタウリのレギュラードライバーに何か不測の事態が起きた場合にはその代役として出走することになる。このため、DTMに出走するのはF1レースと日程がバッティングしないレースだけとなる見込みだ。
「彼は我々と一緒にテストやシミュレーター作業を行うことになる。そして、多くのグランプリで控えを務めることになるが、これは(レッドブルとアルファタウリの)4台全てに適用されることになる」
そう語ったマルコは次のように続けた。
「彼はまだ終わったわけではない」
「アルボンは才能がなくて失敗したわけではなく、一貫性に欠けていたんだ。結局のところ、我々が彼に大きなストレスを与えてしまっていたということだ」
マルコはさらに、仮にどこかほかのF1チームが必要とするならば、2021年シーズンにアルボンを貸し出すことも可能だと次のように付け加えている。
「それにより、彼はテストだけでなく、レースで走行経験を積むことができるだろう」
一方、レッドブルのジュニアチームとしてドライバー育成を担う形となっているアルファタウリのフランツ・トスト代表は、F1デビューしたばかりの2019年シーズン途中からトップチームのレッドブルに抜擢登用されたことがアルボンにとっては災いだったのだと考えている。
「魔法の杖などないんだ」
『Motorsport-Magazine.com』にそう語ったオーストリア出身のトストは次のように付け加えた。
「我々のところにはマックス・フェルスタッペン、ダニエル・リカルド、そしてセバスチャン・ベッテルなどのようにレッドブルで成功を収めたドライバーがいた。しかし、私が何度も強調してきているように、レッドブルで生き残るためにはアルファタウリで3年を過ごす必要があるんだ」