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レッドブル、アルボン降格でペレス獲得の異例の判断。本命は角田裕毅か?ペレスはチャンスと正念場の1年に

2020年12月19日(土)2:34 am

レッドブルは、近年の慣習を自ら打ち破り、F1引退危機に陥っていたレッドブル“外”のドライバーであるセルジオ・ペレスと2021年の単年契約を締結した。

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■アルボンはチャンスを活かせず

レッドブルのモータースポーツアドバイザーであり、ドライバーを選ぶ権利を持っているヘルムート・マルコは、これまでもドライバーたちに対して厳しい判断を下してきたが、アレクサンダー・アルボンには十分な時間を与えていた。しかし、アルボンはそのチャンスを活かせず、マルコを満足させるだけの結果を残せなかった。

アルボンは今季、2度の表彰台を獲得したものの下位に沈むことが多く、荒れたレースでも満足な順位でフィニッシュすることができなかった。F1デビューから約半年でトップチームのレッドブル・ホンダに大抜擢されたが、その後の約1年半の成績はトップチームにはふさわしくないと判断されてしまった。

レッドブルは近年、ジュニアドライバーを昇格させるのが伝統となっていた。しかし、マックス・フェルスタッペンと戦えるだけのドライバーは育っておらず、とうとうレッドブルのジュニアプログラム“外”から優秀なドライバーを採用することになった。

■ペレスの決定打は?

ペレスが選ばれた決定的な要因は、やはり初優勝を果たしたことだろう。

今季所属していたレーシングポイントは、元F1王者4冠のセバスチャン・ベッテルとの契約を発表し、ペレスはシートを失ってしまった。ペレスはすぐにレッドブルなど空いているシートのチームにコンタクトを取ったものの、レッドブル側からは「アルボンが最優先だから、待つように」とだけ言われてしまう。

F1から去るか、トップチームのシートを掴むか、ペレスはF1での生き残りを賭けて結果を残すしかなかったが、そんな大きなプレッシャーの中、190レース目にしてようやくF1初勝利を掴んだ。

今季は大活躍を見せてドライバーランキング4位という好成績で終えたペレスだったが、最終戦アブダビGP終了時点ではシートは決まっていない状態だった。

レッドブルは、マックス・フェルスタッペンのチームメートには常にトップ4で安定してフィニッシュできるドライバーを望んでいたが、浮き沈みの激しいアルボンはそれを実現できなかったため、ペレスとの契約が決まった。

■レッドブル・ジュニアは?

レッドブル・ジュニアとしてここまで育ててきたピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)や、来季はシートを失ったダニール・クビアト(アルファタウリ・ホンダ)も選ばれることはなかった。角田裕毅は来季F1デビューするため、いきなりレッドブルで走らせるギャンブルはさせない。レッドブルはフェルスタッペンに続く優秀なジュニアドライバーが育っていないのだ。

そこで外からドライバーを探すしかなくなったレッドブルの候補に上がったのは、ベテランのペレスとニコ・ヒュルケンベルグだったが、今季フル参戦しながら、上位で結果を出していたペレスはレッドブルにとって最有力候補だった。

初優勝も経験し、今季は何度も上位争いをしてきたペレスがレッドブルに加われば、打倒メルセデスも夢ではない。来季はダウンフォースは削減されるものの、シャシーなど基本的なレギュレーションは今年と同じだからだ。

■2022年はペレス、アルボン、角田裕毅の3択

問題は大きくレギュレーションが変わる2022年だ。1年後の2021年の終わりに、レッドブルの選択肢はペレス、1年休ませたアルボン、そしてF1で1年目のアルファタウリ・ホンダで頭角を現せば角田裕毅という選択も出てくる。

ペレスはフェルスタッペンとどれほど戦えるのだろうか?単年契約のペレスは、前半戦が勝負となる。開幕戦から夏までに安定して表彰台を獲得し、優勝を狙えるポジションにいることを望まれるだろう。フェルスタッペンのためのチームになっているレッドブルで、ベテランのペレスは短期間でチームとクルマに慣れて自由自在に操る必要がある。

フェルスタッペンは2015年にF1デビューした当時はカルロス・サインツ(来季はフェラーリ)と激しいバトルをして勝ち、チームメートに負けたのは2016年と2017年のダニエル・リカルド(来季はマクラーレン)くらいだ。そんなフェルスタッペンにとっては強いチームメートが加入することは歓迎かもしれない。

もちろん2013年以来、世界チャンピオンを奪われ続けているレッドブルにとっても良いことだろう。ペレスは開発力にも定評があり、今季見せたように速いクルマがあれば好結果を残せるのだ。

しかし、そんなペレスもうかうかしていられない。来季アルファタウリ・ホンダからF1デビューを果たす角田裕毅は、今季F2ルーキーながらチャンピオン争いに絡んできた。その習得の早さには誰もが驚いており、レッドブルが期待するのも当然だ。ただ、角田裕毅の将来を考えれば、2年はアルファタウリ・ホンダでF1を学ばせて、3年目でレッドブルへ昇格させるのがベストだろう。何せ相手はあのフェルスタッペンだからだ。

ではアルボンの2022年の復帰はあり得るのだろうか?実戦から離れてしまうアルボンにとってF1復帰は実際はかなり難しいだろう。アルファタウリ・ホンダのシートもジュニアドライバーたちが虎視眈々と狙っている。さらにヘルムート・マルコも期待する角田裕毅がこのまま順調に育てば、アルボンにレッドブルのシートはない。

190戦を超えるベテランのペレスにとってはトップチームで走る最大のチャンスが巡ってきた。そして角田裕毅は、そんなトップチームであるレッドブルのシートまであと1歩のところにいる。2021年シーズンすらまだ始まっていないが、2022年以降のトップチームのシート争いはすでに始まっているのだ。

日本人としてF1での優勝、そしてチャンピオンをも狙える可能性のある角田裕毅の来季の活躍を期待せずにはいられない。

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