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メルセデスはハミルトンよりコスパが高いラッセルを起用すべきとの声

2020年12月09日(水)5:16 am

先週末に行われたF1サヒールGPでルイス・ハミルトンの代役としてメルセデスから出走したジョージ・ラッセル(ウィリアムズ)が素晴らしいパフォーマンスを見せたことで今後バルテリ・ボッタスばかりか通算7回目のF1チャンピオンとなったハミルトンにも大きなプレッシャーがかかることになりそうだ。

今季のF1第15戦バーレーンGP後に新型コロナウイルス感染が認められたことで急遽ジョージ・ラッセル(ウィリアムズ)がその代役として16戦サヒールGPにメルセデスから出走することになった。

メルセデス所属ドライバーながら2019年からウィリアムズでF1デビューしたラッセルは、ここまでチームメートに予選で負けたことが一度もないというパフォーマンスを見せてきている。

そのラッセルがハミルトンの最強F1マシンでどういう走りを見せるのかに注目が集まっていたが、なんと金曜日に行われた2回のフリー走行ではいずれもトップタイムをマーク。予選では僅差でボッタスにポールポジションを奪われたものの、決勝ではスタート直後にボッタスをかわすと終盤まで初優勝は間違いないと思わせる好走を見せていた。

レース終盤のピットストップでピットクルーがボッタス用のタイヤを間違ってラッセルのマシンに装着するという前代未聞のミスが発生したことで勝利を逃してしまったラッセルだが、その才能を示すには十分なレースだったと言えるのは間違いないだろう。

その一方で、SNSにはハミルトンがこれまで過大評価されていたのだというような投稿が多く書き込まれるようになっている。

2014年にパワーユニットと呼ばれるハイブリッド方式の現行F1エンジンが導入されて以来2016年にニコ・ロズベルグに敗れたものの、それ以外のシーズン全てでタイトルを手にし、今年ついにミハエル・シューマッハが持つF1史上最多タイトル獲得記録7回に並んだハミルトン。

だが、それはハミルトンの才能が傑出していたのではなく、メルセデスのマシンが素晴らしかっただけだという事実が差ヒールGPで明らかになったに過ぎないというわけだ。

こうした中、2人のオランダ出身元F1ドライバーが、メルセデスは2021年にはまだ契約を結んでいないハミルトンではなくラッセルを起用したほうがよいのではないかとコメントしている。

そのひとりはかつてミナルディやMF1レーシングで活躍したクリスチャン・アルバースだ。アルバースはサヒールGP決勝後に『De Telegraaf(テレグラーフ)』に次のように語っている。

「ハミルトンはさらに多額の報酬を望んでいる。だが、メルセデスは今週末ラッセルのような若いドライバーでも同じ仕事ができることを目にしたわけだ」

また、かつてレッドブルに所属していたこともある元F1ドライバーのロバート・ドーンボスは、今回メルセデスを率いるチーム代表のトト・ヴォルフがリザーブドライバーのストフェル・バンドーンではなくウィリアムズからわざわざラッセルを呼び戻してハミルトンのマシンに乗せたのにはある目的があったのだと考えている。

「ハミルトンとヴォルフ(メルセデス/チーム代表)との交渉はすでに困難な状況となっている」

母国オランダの『Ziggo Sport(ジッホ・スポルト)』にそう語ったドーンボスは次のように続けた。

「もちろん、トトは意図的にそうしたんだ。彼は単にリザーブドライバーをクルマに乗せることもできていたわけで、これは政治的なものでもあったんだ」

「ハミルトンは7000万ユーロ(約88億円)もの報酬を要求しているが、その一方でダイムラー(メルセデスの親会社)のボスは会社のF1費用をカットしたいと考えている。このことがすでに状況を複雑にしてきている」

「ラッセルに7回F1チャンピオンになる力があるかどうかは分からない。だが、彼なら報酬は(ハミルトンより)5000万ユーロ(約63億円)少なくてすむことを無視はできないだろう」

「いずれにせよ、このことがメルセデスとハミルトンとの間に何らかの意見の不一致を生むことになるだろう。それは契約交渉においては極めて普通のことだよ」

スペインの日刊スポーツ紙『Marca(マルカ)』も、ダイムラーのオラ・シャレニウス会長に対する公開書簡という形でハミルトンが求めている報酬額はあまりにも非常識だと訴えている。

「ハミルトンが求めている額は、この経済危機にあっては完全に無用のものだ」

「今日のような状況のもとで、1年に7000万ユーロを受け取るにふさわしいドライバーなど1人もいない」

そう書いた『Marca(マルカ)』のカルロス・ミゲル記者は、仮にハミルトンがボッタスあるいはラッセルよりもコンマ数秒速く走ることができるとしてもメルセデスF1マシンの優秀さを考えればそのために大金を投じるのは意味のないことだとも主張し、次のように付け加えている。

「常にチャンピオンを抱えていたいという誘惑にかられることは分かる。だが、決してそのためにいくらでもコストをかけてよいわけではない」

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