フェラーリのチーム代表を務めるマッティア・ビノットは、F1サーキットに昔のようにもっと“グラベル・トラップ”を増やした方がレースの見所が増すことになると考えている。
ビノットの言う“グラベル・トラップ”とは直訳すれば“砂利の罠”となるわけだが、これはつまりコース脇に砂利が敷き詰められた部分のことだ。F1マシンがコースをそれてその砂利が撒かれた部分に入ってしまうとタイヤが空転してそこから抜け出すことが難しくなるためにこう呼ばれている。
ビノットが言うように、昔のサーキットにはグラベルが施されたところが多かったが、いわゆる近代的F1サーキットでは砂利ではなくアスファルト舗装された広いランオフエリアが設けられているところが多い。
このランオフエリアの場合にはコースをそれたことでタイムや順位を失うことにはなるが、ドライバーは簡単にコース復帰することができる場合が多く、ミスをしても致命的なものにはならずにすむことが増えているとも言えるだろう。
ビノットは、新型コロナウイルスのパンデミックの影響を受けて本来2021年に予定されていた新F1技術レギュレーションの導入が1年先送りになったが、これにより2022年のF1は今よりも各チームの戦力が拮抗してくると考えている
ビノットはテレビ局『Sky Italia(スカイ・イタリア)』に次のように語った。
「そのレギュレーションには、何か独特なものを開発できる余地はあまりないんだ。だからエンジニアたちはほとんど革新的なことはできない。だが、そのことがショーを面白くするだろうね」
「F1マシンもほかのマシンに接近したときに大きくダウンフォースを失うことはなくなる。だからオーバーテイクも簡単になるはずだ」
ビノットは、F1をより面白くするためにはそれだけでは不十分だと次のように続けた。
「ショーを改善するためには、もっといろいろやる必要があるよ」
「例えば、もっとグラベル・トラップが必要だよ。そうなればドライバーはミスをすれば本当に罰を受けることになるからね。グラベルをもっと増やす計画があると耳にしているが、それはいいことだよ」
「こういう規制をたくさん変更することによって違いを生じさせることができるんだ」
ビノットは最後にもう一度次のように繰り返している。
「本当にもっといろいろ取り組む必要があるよ」