レッドブルのチーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーが、ホンダが撤退を決めたことによりF1は「非常に危険な状態」に陥っていると主張した。
ドイツのモータースポーツ専門誌である『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』は、レッドブルはF1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)に対し、もしも2022年以降F1エンジンの開発を凍結することにしなければ自分たちがF1を撤退する可能性もあると脅しをかけていると報じている。
これは、レッドブルがホンダからF1エンジンに関する知的財産権を買い取り、今後自分たちでパワーユニットと呼ばれるエンジン製造を行っていきたいと考えているためだという。ホンダからF1エンジンを引き継いだとしても、それをさらに開発していくことは現実的に無理であり、そのためにはライバルメーカーたちも開発ができないという状況にならなければメリットがないということになるからだ。
そして、レッドブル首脳のヘルムート・マルコ(モータースポーツアドバイザー)は、2023年からF1がもっとシンプルな構造のエンジンを導入するよう働きかけている。そうすれば、新たなF1エンジンサプライヤーが参入する可能性も高まるだろうというわけだ。
しかし、伝えられるところによれば、フェラーリはすでに2022年のエンジン開発凍結に合意するつもりはないとしているようだ。
『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』は、あるフェラーリ内部関係者が次のように語ったとしている。
「レッドブルはいつでもパリ(FIA)あるいはマラネロ(フェラーリ)のドアをノックすることができる」
「彼らは自分たちで製造するよりも少ないコストでエンジンを手に入れることができるんだ」
こうした中、ホーナーはオランダの『Ziggo Sport(ジッホ・スポルト)』に次のように語った。
「F1にとっては非常に危険な状況だよ」
「現在は3つのエンジンサプライヤーがあるだけだし、彼らもいつでも手を引くことができる。ホンダと同じようにね」
一方、ホーナーはこれから開催される第12戦ポルトガルGP(25日決勝)、第13戦エミリア・ロマーニャGP(11月1日決勝)、第14戦トルコGP(11月15日決勝)が、自分たちの2020年型F1マシンの開発をさらに進めるために特に重要なレースとなると考えている。
新型コロナウイルスのパンデミックによる財政危機に対応するため、2021年のF1は原則として2020年型マシンを継続使用することになっているが、トークン制度を用いることでわずかながら大きな改良を施すことが可能となっている。
そのためにはこれからの3レースが大きな意味を持つと示唆したホーナーは次のように語った。
「我々はすでにRB16(2020年型車)に関するいくつかの問題を理解している。そして、これから学ぶことはすべて2021年に向けたBバージョン(F1マシン)の開発において考慮されることになる」