フェラーリでは2021年シーズンに向けて、今季のフェラーリF1マシンの弱点であるリアエンドの改善に焦点を合わせているようだ。
通常であれば、F1チームは毎年新たに設計・製造したマシンを投入することになる。だが、2020年は新型コロナウイルスのパンデミックによりF1界全体が財政的に大きな影響を受けたこともあり、コスト負担を軽減するために2021年シーズンは基本的に2020年型マシンを継続使用することが決まっている。
そして、各チームに許される現行マシンの改良は「トークン制度」により、2つだけしか認められないことになっている。
これは、今季大きな不振が続いているフェラーリにとっては、現在のマシンのどこをどのように改良するかが、2021年に向けて最大の技術的課題となるわけだ。
イタリアの『Corriere dello Sport(コリエーレ・デロ・スポルト)』から、フェラーリがどこに集中するべきなのかは誰が決めることになるのかと質問されたシャシーエンジニアリング責任者のシモーネ・レスタは次のように答えた。
「チームだし、我々だ。それが設計者の仕事なんだ」
「それが今同僚たちと一緒に私が取り組んでいる仕事だよ。我々が現在のプロジェクトを改善するためにどこに介入するかを決めているんだ」
2018年7月から1年間出向のような形でザウバー(現アルファロメオ)のテクニカルディレクターを務めていたレスタはそう語ると、これからマシンのリアエンドの設計をやり直すことになるだろうと次のように続けた。
「マシンの後部を再設計する方向に向かいつつある」
「あの部分を開発することによってさらにパフォーマンスを向上できる見込みがあると考えているためだ」
だが、最近では、フェラーリの前技術最高責任者であり現在はチーム代表の地位にあるマッティア・ビノットとレスタの考え方に違いがあり、両者の関係が悪化してきているとのうわさもささやかれている。
そのことについて質問されたビノットはテレビ局『Sky Deutschland(スカイ・ドイツ)』に次のように語った。
「さしあたり、重要なのは気を散らさないことだ」
「外部のうわさのことなど忘れて、自分たちの仕事、そして今後の開発に関することだけに集中しなくてはならないんだ」
F1関係者の間には、フェラーリは2020年型マシンをあきらめて、2019年型マシンを再び引っ張り出してきて開発した方が効率的なのではないかとの意見を持つ者もいるようだ。
だが、これに関してビノットは次のように語っている。
「(2019年型マシンの)進化型だとは言え、今(2020年)のマシンはかなり違っているんだ。ただパーツを別の車に載せ替えれば済むという話ではないし、それは不可能だよ」