かつてトヨタなどで活躍した元F1ドライバーのラルフ・シューマッハは、ルイス・ハミルトンとメルセデスとの契約延長交渉が長引いていることに驚きを感じてはしていないようだ。
もし、今週末にソチで行われるF1ロシアGPでハミルトンが勝利すれば、ミハエル・シューマッハが持つF1史上最多勝利数記録の91勝に並ぶことになる。
今季ここまでに行われた9戦のうち6戦で勝利するという強さを見せているハミルトンだけに、今季の残り8戦で複数勝利を挙げ、シューマッハの記録を抜き去ることはほぼ確実な状況だ。
そして、ハミルトンが2020年のF1ドライバーズタイトルを獲得すれば、こちらもミハエル・シューマッハの持つ史上最多記録である7回に並ぶことになる。
ミハエル・シューマッハの弟であるラルフ・シューマッハは母国ドイツのテレビ局『Sky Deutschland(スカイ・ドイツ)』に次のように語った。
「誰もが僕にルイス・ハミルトンが今や歴代最高のレーシングドライバーだと思うかと聞いてくるんだ。彼は僕の兄の記録を次々に塗り替えているからね」
「僕の意見は、彼は間違いなく彼の時代において最も偉大なドライバーだよ。ミハエルがそうだったようにね」
「だけど、彼と僕の兄を比較するのは難しいよ。というのも多くの要素がからんでくるからね。ルイスは卓越した才能に加えてものすごくいいパッケージ(メルセデスF1マシン)を手にしている。ミハエルの場合は常にそうだったわけではないよ」
「しかし、ルイスがそれを使って素晴らしいことをやっていることは間違いないよ。彼は現在のドライバーの中では飛び抜けていると言うべきだ」
今年F1タイトル獲得記録でミハエル・シューマッハに並ぶことがほぼ確実なハミルトンにとって、2021年はF1ドライバーズタイトル獲得8回という前人未踏の大記録に挑戦する年になるはずだ。
そして、原則として2020年型F1マシンをベースにしたクルマで戦うことになる2021年もメルセデスで戦えば、新記録樹立の可能性は非常に高いだろう。
だが、現時点ではまだハミルトンとメルセデスが2021年の契約を結んだというニュースは伝えられていない。
「彼とメルセデスはこれからどうするんだろうね?」
「メルセデスが来年末までにF1チームを売却しようと考えているといううわさがあるんだ。そしてそういう不透明なもたらす影響もある。そういう将来に関する決定をそれがマヒさせてしまうからね」
最近、メルセデスがそのF1ワークスチームをイギリスに本部を置く国際的化学企業であるイネオスに売却する計画を進めているとのうわさがあることに言及したラルフ・シューマッハは次のように続けた。
「ルイスが重要な人物であることを忘れてはならない。もちろん、非常に高価だがね。それに彼は1年ではなくもっと長期の契約を望むだろう」
「チームにそうした不確実要素があることが、彼とチームの交渉がこれほど長引いている理由であることは間違いないよ」