かつてスパイカー、フォース・インディア、HRTなどでチーム代表を務めていたコリン・コレスは、セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)は2021年には1年休みをとって様子を見るべきだったと考えている。
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10日(木)にベッテルが来季アストンマーティン(現レーシングポイント)に加入することが発表されたが、元F1ドライバーのゲルハルト・ベルガーはそのニュースを前向きにとらえているようだ。
ベルガーは、もしベッテルが今年のレーシングポイントF1マシンに乗っていたならば、もう少なくとも1勝はできていただろうと語り、ベッテルの加入は2021年からアストンマーティンとして活動を開始することになるチームにとって大きな成果だとしている。
ベッテルと同じドイツ出身の元F1ドライバーであるラルフ・シューマッハも同じように考えているようだ。シューマッハはテレビ局『Sky Deutschland(スカイ・ドイツ)』に次のように語っている。
「オンボードカメラの映像を見れば、レーシングポイントは非常に安定しているのが分かる。そして、セバスチャンがフェラーリに関して常に酷評しているのはまさにその点なんだ」
ベッテルは、レーシングポイントと契約を結ぶにあたっては時間をかけて真剣に考えたと認めている。ベッテルが慎重になった理由のひとつは、レーシングポイントの2020年型F1マシンは2019年型メルセデスマシンをコピーしたものであり、非合法だとライバルチームが提訴したことに対し、統括団体のFIA(国際自動車連盟)がその訴えを認める裁定を行ったことだと考えられている。
一時はこの裁定にレーシングポイントばかりか提訴したルノーもFIAが下したペナルティーでは不足だと控訴するなど、この問題がずっと尾を引く可能性もあると考えられていた。
だが、最近レーシングポイントとライバルチームの両者が控訴を取り下げたことで、ひとまずこの問題に関しては一定の決着を見たという状況になっている。
しかし、2020年型レーシングポイントF1マシンが非合法だと認定されたという事実は変わらないことから、2021年のアストンマーティンF1マシンがどの程度2020年型レーシングポイントマシンの仕様を継続使用することが可能となるのかなど、まだ明らかとなっていないこともある。
こうした中、コレスは、ベッテルは1年F1から離れて様子を見るべきだったと『f1-insider.com』に次のように語った。
「私なら2022年にどういうチャンスがあるかを見るために1年休むことにしただろうね」
「不正コピー問題の後でアストンマーティンが来年も同じように強いかどうかは疑わしいし、その後新たなルールも導入されるわけだからね」
「ベッテルに対する評価に関しては、フェラーリでの悲惨なシーズンのことなどすぐに忘れ去られるだろう。だから、私だったら1年休みをとるね」
ベッテル自身は“ピンク色のメルセデス”と揶揄された不正コピー事件は、来季アストンマーティンに加入するという決断をする上でそれほど大きな問題ではなかったと主張している。
しかし、ベッテルがアストンマーティンに行くべきかどうか、非常に悩んだのも間違いないようだ。
「僕にとって簡単な決断ではなかったよ」
そう語ったベッテルは次のように続けた。
「だけど、僕にはF1に残りたいという気持ちがあると感じたし、2022年のレギュレーションによる新しいマシンでドライブしてみたいと思ったんだ。それによってもっと平等なチャンスが与えられるだろうからね。僕はそこで頑張ってみたいんだ」
「タイミングが本当に良かったよ」
そう語ったベッテルは、来季のアストンマーティンには期待できるはずだと次のように付け加えた。
「チームは今年すでに素晴らしいマシンを手にしているし、来年もそれは何も違わないだろう。2021年にはいいレースをすることができるのは分かっているよ。ライバルたちと比べてどれほど強いのかは、まだ分からないけれどね」