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【記者会見】佐藤琢磨「大舞台で2度目の優勝、すっごく嬉しいです!」インディ500で2勝目、史上20人目の偉業達成「期待と自信と不安が入り混じっていた」

2020年08月26日(水)1:23 am

「インディ500という大舞台で2度目の優勝、とっても嬉しいです!」

「勝てたことが何より嬉しい。応援とチームの頑張りに感謝」

現地時間2020年8月23日(日)に行われた第104回インディアナポリス500(インディ500)で、インディ500の100年という長い歴史の中で史上20人目、自身は3年ぶり2度目の優勝を成し遂げた佐藤琢磨(43歳、レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング/ホンダ)は、記者会見が始まると開口一番、満面に笑みを浮かべながらオンライン記者会見で語りはじめた。

現役最年長ドライバーとして参戦した佐藤琢磨が、世界三大モータースポーツの中のひとつとして世界的に有名なインディ500で、2勝目という快挙を成し遂げ、また世界のモータースポーツ史に名を刻んだ。これまで世界的にも有名なドライバーたちが挑戦してきたが、勝ちたくても勝てないレース、それがインディ500だ。

会見が始まると、コロナ渦でもレースができていることに感謝し、チームや応援してくれているファンやスポンサー、そしてインディアナポリスのオーナーとなったロジャー・ペンスキーの尽力に感謝した。

レース前は「期待と自信と不安が入り混じっていた」という琢磨は「2017年で優勝した時のイメージ、そして昨年2019年に3位に入ったことが大きな自信になっていた」。

「今年は安全のためのエアロスクリーンがついているが、メカニカルグリップも減って、ドラッグが増えて空力効率の悪化、スピードの低下があり、ドライビングしている側としてはいいことはなく、一方で、勢力図が変わるというチャンスもあった」。

■初優勝時「2017年はアドバンテージがあった」

2017年にアンドレッティ・オートスポーツで勝てたのは、「6台体制でホンダも強力で、明確なマシンアドバンテージがあった。勝利に挑戦できる中での(レースへの)挑戦」だった。

「レイホールに移籍してから2018年はスピードも乗らず散々な結果で、2019年はチームとして大きな飛躍を遂げたけどトップ争いができるまで時間的に遅すぎたし、実際にはトップ2台との差は大きくて3位が精一杯だった」とマシンのアドバンテージがなかったことに苦しんだ。

■ホンダがいい仕事をしてくれた

「2020年は楽しみ」にしていた琢磨。

「今年、背中を押してくれたのはホンダだった。昨年、ホンダは多くの勝利をしてきたが、(インディ500のような)スーパースピードウェイではライバルに対して苦しく課題だった。レギュレーションでは仕様変更できない中、HPD(Honda Performance Development=ホンダ・パフォーマンス・ディベロップメント)がどれくらいパワーを上げてくるのか分からなかったが、蓋を開けてみたら素晴らしいパワーだった。ホンダはターボのブースト圧を上げてスピードを伸ばしてくれた。本当に上手に仕事をしてくれたおかげで、予選ではフロントローを独占できて、落ち着いてレースを戦えた」

■「理想の戦い方」だった

レースが始まってから、ポイントリーダーのスコット・ディクソンがレースをリードし、後ろで様子を見ていた。その後、ライアン・ハンター-レイが攻めてきても無理はせず、2番手、3番手を走行し、空気抵抗を減らして、燃費調整などをし、後半に向けてセッティングを変えながら走行していた。

3番グリッドからのスタートだった今年は、これまでと違い、トップ2台をターゲットにクルマを作っていった琢磨。これまでは後方から追い上げて戦うしかなかったが、今回はフロントローからの戦いで、これまでとは全く違った戦い方だった。しかしこれは「理想の戦い方で、いつもこう戦いたい」という。後方からの追い上げでは時間切れになることが多かったり、追い上げていく途中でも今回のようにイエローフラッグが出てレースが終わってしまうこともあるためだ。

琢磨は最初の4スティントでピットインのたびにクルマを調整し、最後の2スティントはクルマをいじらないと当初から決めていたという。それまでにコクピット内で燃費や足回り、空力などを調整し、ベストを見つけておいて、最後に勝負するという狙いだ。

また、ライバルに手の内を見せない駆け引きもあった。後半まではディクソンの戦い方、クルマの力を探りながら走行。また、ディクソンを抜いた後も、自分に追いつくまで何周かかるのか、抜けるのか、抜けないのか、どれくらい本気で抜きにきているのか、など様子を見ていて「抜きあえいでいる」と感じていたという。

その戦略がピタリと当たり、後半は「マシンバランスがパーフェクトに持っていけた。タイヤもデグラデーション(性能劣化)が少なく、手に取るように分かってちょうど良いところ、走行抵抗の少ない状態にできた」という。

アクセル全開で走ると当然燃費は厳しくなるが、ミクスチャーや、アクセルで調整し、後半に備えていた。また、ピットストップした際に前後のウイング角度は簡単に変えられるため、最後のピットストップまで本当の力を見せないように走り、ライバルに調整させないよう計算しながら戦っていた。

ディクソンがレース後「捨て身の作戦だと思って、燃料切れを待っていた」と言っていたが、琢磨は「実際は燃費を調整して、ディクソンが追い掛けてきたらフルパワーで走り、あとは燃費調整、計算をして走りきれるようにしていた」とディクソンの予想を上回る戦略で走っていたのだ。琢磨は「チームの力」だと感謝した。

380km/hで走りながら、狭いコクピット内で細かい調整を繰り返し、後半に向けて相手に力を見せないように隠しながら上位を走り、最大のライバルの予想を超えた走りを見せた佐藤琢磨。インディ500で最強の戦い方を見つけた琢磨の今後のさらなる活躍に期待したい。

●【フォトギャラリー】佐藤琢磨、2度目のインディ500優勝!
●【動画一覧】2020年第104回インディアナポリス500、佐藤琢磨が2勝目!

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