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勝者はフェラーリ?新コンコルド協定全チーム合意の背景

2020年08月20日(木)18:21 pm

既報の通り、現在F1に参戦している10チーム全てが2021年から5年間にわたるF1参戦契約である通称「コンコルド協定」を結んだことが明らかとなった。

F1オーナー、F1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)、そして各F1チームの3者によって結ばれるコンコルド協定の内容は原則非公開となっており、その詳細な内容が表に出ることはない。

2017年にF1の新オーナーとなったリバティ・メディアにとっては今回が初めてのコンコルド協定締結となるわけだが、前F1最高責任者のバーニー・エクレストンが中心となってまとめていたこれまでのコンコルド協定とはかなり異なる内容の協定となっているようだ。

実際のところ、小規模プライベートチームなどは新協定を評価しているようだ。

近年予算不足によりF1マシンの開発競争に乗り遅れてしまっているウィリアムズは「これまでよりも公平な収益分配」が約束される新コンコルド協定は自分たちにとって「再びトップ争いを目指す旅を続けていく大きなチャンス」だと評価している。

また、最近までF1撤退の可能性をちらつかせていたハースも公式ツイッターを通じて「我々はまた5年間F1を続けることを確約した」とアナウンスしており、新協定のもとでF1活動を継続する意味があると判断したことを示している。

しかし、現F1チャンピオンチームであるメルセデスは当初新コンコルド協定締結に難色を示していたと考えられている。結局はメルセデスも2021年以降の協定にサインしたものの、チーム代表を務めるトト・ヴォルフは最近自分たちが「最大の犠牲者」だと語っていた。

メルセデスがリバティ・メディアが提示した新協定に対して最も異議を唱えていたのはフェラーリに対する優遇措置が依然としてその中に盛り込まれていたことによるものだと考えられている。

F1を代表する名門チームであるフェラーリは、これまでのコンコルド協定ではほかのチームよりも優遇されていたことが知られているが、これに関しては新協定でもあまり変化がないようだ。

イタリアの『Corriere della Sera(コリエーレ・デラ・セラ)』によれば、かつてフェラーリのチーム代表を務めていた現FIA会長のジャン・トッドは新コンコルド協定はF1を「さらに安定的かつ公平でエキサイティングなもの」とするものだと語っているものの、実際のところフェラーリがほかのチームよりも多くの分配金を受け取る仕組みやF1での決定事項に関する拒否権を有しているという状況は何も変わっていないという。

同紙は「フェラーリの今年最初の勝利は交渉の場で達成された」と付け加えている。

だが、かつてF1最高責任者としてコンコルド協定をとりまとめていたエクレストンは、フェラーリを優遇していたのにはそれなりの理由があったのだと主張している。

「我々はフェラーリにほかの誰よりも多くの額を払ってきた。それは我々が彼らのブランドを使用する許可を得ていたからだ」

ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』にそう語った89歳のエクレストンは次のように付け加えた。

「それにより、我々はフェラーリがその名称を絶対に変更しないことを確実なものとしていたのだ。彼らはこの契約が有効な間は自分たちの名称をアルファロメオあるいはマセラティと変えることはできなかった。もしそうなればF1の価値が大きく下がっていただろう」

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