レッドブルの首脳たちは2020年のF1タイトル獲得を狙うための時間は十分にあると考えているようだ。
先週末に行われた今季のF1第6戦スペインGPではメルセデスのルイス・ハミルトンがライバルたちを寄せ付けぬ速さを見せてポール・トゥ・ウィンを達成。6レースを終えた時点でドライバーズランキング2番手のマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)に37ポイント差をつけてトップに立っている。
すでにフェルスタッペンは今年F1歴代最年少チャンピオン記録を塗り替えるのは難しいとほのめかしている。
だが、レッドブル首脳のひとりであるヘルムート・マルコは、メルセデスに追い付くためにスパ・フランコルシャンで行われる次戦ベルギーGP(30日決勝)にも改良パーツを持ち込む用意をしているとドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』に次のように語った。
「シャシー側で注目に値する改良パーツを持ち込むことになるはずだ」
しかし、F1チームの中には2020年型F1マシンの開発継続をすでに断念しているところもある。新型コロナウイルスのパンデミックによりシーズン開幕が大幅に遅れてしまい、今年最終的に何レースが行われることになるかもまだはっきりとしていないためだ。
レッドブルのチーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーも、今季メルセデスをとらえることが可能だと思うかと質問されると次のように答えている。
「それは、シーズンがどれほどの長さになるかによるね」
「現時点では、12月まではレースが続きそうだ。そうなれば可能な限りパフォーマンスを向上させるのに十分な時間が与えられることになる」
そして、レッドブル・ホンダにとってもうひとつの明るい材料は、次戦ベルギーGPからF1エンジンに関するルールが修正され“パーティーモード”とも呼ばれる予選専用モードが使用できなくなることだろう。
しかし、マルコはそのことでメルセデスの勢いが失われるようなことにはならないだろうと考えている。
「彼ら(メルセデス)は予選でのセッティングだけでなく、1周目、インラップとアウトラップ、オーバーテイク、防御、それらすべてで優位に立っていた」
そう語ったマルコだが、レースでのパフォーマンス差は小さくできるはずだと次のように付け加えた。
「レース距離を通じてであれば、我々がつけられている差は小さくなるはずだよ」
また、次戦ベルギーGPで使用されるドライタイヤはシルバーストンでの最初のレースや先週末のバルセロナに投入されたものよりも1ランク軟らかいものになることもレッドブル・ホンダにとってはプラス要因として考えられそうだ。
その軟らかいコンパウンドが使用されたシルバーストンでの2レース目(70周年記念GP)ではメルセデスがタイヤの摩耗に苦しめられ、フェルスタッペンが今季初優勝を飾っている。
「バルセロナではシルバーストンとはまったく逆になったよ。メルセデスはシルバーストンでタイヤを使い切ってしまったが、バルセロナでは我々が使い切ってしまった」
「硬めのタイヤは我々の好みではないね。だが、軟らかめのコンパウンド頼みにするわけにもいかないよ」
マルコはそう語ると次のように付け加えた。
「クルマとエンジンをもっとよくしていかないとならない」