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2020年型フェラーリF1マシンは失敗作?チーム代表がその可能性を示唆

2020年07月15日(水)5:15 am

フェラーリのチーム代表を務めるマッティア・ビノットが2020年型フェラーリF1マシンは失敗作だった可能性があると示唆した。

新型コロナウイルスのパンデミックにより開幕が遅れていた2020年のF1だが、ついに今月からシーズンがスタート。ここまでにオーストリアのレッドブルリンクにおいて2週連続で2レースが行われている。

パフォーマンス不足があらわとなったフェラーリ

2月にスペインのバルセロナで行われたF1プレシーズンテストで思ったようなパフォーマンスを示すことができなかったフェラーリだが、実際にシーズンが開幕すると2020年型マシンが予想以上に深刻な問題を抱えていることが明らかとなった。

開幕戦オーストリアGP決勝ではチャンスをうまくものにしたシャルル・ルクレールが2位表彰台を獲得したものの、予選では7番手にとどまっていた。そして今季限りでフェラーリを離脱することが決まっているセバスチャン・ベッテルは予選Q3進出を逃して11番グリッドからのスタートとなり、決勝ではひとつ順位を上げて10位となるのがやっとだった。

さらに、第2戦シュタイアーマルクGP予選ではベッテルが10番手、ルクレールが11番手に沈み、決勝ではスタート直後にその2台がクラッシュしてリタイアするという最悪の結果となってしまった。

フェラーリのチームマネジメントに問題?

イタリアの『Tuttosport(トゥットスポルト)』はそんなフェラーリを酷評している。

「2人のドライバーがエンジニアたちの仕事をすべて無駄にしてしまった」

本来であれば今週末に行われる第3戦ハンガリーGPで投入する予定だった新パーツを急遽シュタイアーマルクGPで使用し、その評価を行う予定にしていたフェラーリだが、2台ともに開始早々にリタイアしたことで決勝でのデータがまったくとれなかったことに言及した『Tuttosport(トゥットスポルト)』は次のように付け加えている。

「ひとつだけ確かなことがある。セルジオ・マルキオンネ(前会長)の死後、スクーデリア(フェラーリ)は方向性を見失っているようだ」

かつてフェラーリに所属していたこともある元F1ドライバーのゲルハルト・ベルガーも同様の見方をしているようだ。

ベルガーは母国オーストリアの『Servus TV(セアヴスTV)』に次のように語った。

「問題はチームだよ」

「その問題は非常に深い。私には彼らが短期間のうちにその解決策を見つけられるとは思えない」

スイスの『Blick(ブリック)』紙は、その責任を負うべきなのはチーム代表のビノットだと次のように書いている。

「このフェラーリの危機を生んだのはマッティア・ビノットだ」

ベルガーは、チーム代表と技術責任者を兼務するビノットの負担が大きすぎるのが問題なのだと考えている。

「私は最初にこの体制では絶対にうまく機能しないと言ったんだ。私はマッティアを責めるつもりはまったくない。彼は優秀なエンジニアだし、私のクルマも担当していた好人物なんだ」

「だが、レッドブルに目を向ければ、あそこにはヘルムート・マルコ(アドバイザー)、クリスチャン・ホーナー(チーム代表)、エイドリアン・ニューウェイ(技術責任者)がいる。同じことはメルセデスにも言えるよ」

チーム代表を替えれば済む問題ではない

ドイツ出身の元F1ドライバーであるラルフ・シューマッハも現在のフェラーリは組織体制的問題を抱えていると考えている。だが、シューマッハはその問題はビノットを更迭したところでどうにかなるようなものではないと『Sky Deutschland(スカイ・ドイツ)』に次のように語った。

「シーズン半ばでそんなことをしても意味ないよ」

「しかし、彼らは答えを見つけ出さなくてはならない。単にエンジンあるいはドライバーだけの問題ではないからね」

「セルジオ・マルキオンネはもっと多くのイタリア人がチーム運営にかかわるべきだと言っていた。それはロマンティックで素敵な考えだ。しかし、実際にはそれではうまく機能しないよ。F1は国際的なものだからね」

「重要な問題は、状況をうまくコントロールさせるために外部から人材を引き抜く心構えができているかどうかだ。もしそうでなければ、彼は今のポジションにはふさわしくないよ」

「ビノットのお粗末なやり方のひとつの例がセバスチャンとの契約だ。彼らは彼に大金を支払っているが、今の彼らの彼に対する対応はすごくぎごちないものになっている。今にそれが火を噴いてもおかしくないよ」

根本的問題解明が急務

フェラーリの差し迫った課題は、次にどういう手を打つかということだろう。

やはりかつてフェラーリでドライバーを務めていた元F1ドライバーのジャン・アレジはイタリアの『Radio Anch'io(ラジオ・アンキーオ)』に次のように述べている。

「ドライバーたちにかかるプレッシャー以上に、実際にはクルマのできが悪いし、エンジニアたちによる改善策も機能しなかった」

そして、ビノットもイタリアの『La Gazzetta dello Sport(ガゼッタ・デロ・スポルト)』に次のように語った。

「ここから抜け出すのは簡単なことではないよ。進歩させるためには問題の根源を理解する必要がある」

「このプロジェクトの根本をなす(F1マシンの)コンセプトに問題があるのかもしれない。だから、現時点において最も重要なことは偏見を持たず、あらゆる視点からすべてを分析することだ」とビノットは付け加えた。

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