ホンダF1の山本雅史マネージングディレクター(MD)がF1開幕戦オーストリアGPを終えた後、パワーユニット(PU)開発のこと、開幕戦でのこと、ライバル・メルセデスのこと、鈴鹿サーキットでの日本GP中止について、ホンダF1公式サイトで語っている。
■PUアップデート禁止
新型コロナウイルスの影響で中断したことにより、PUのアップデートが禁止されたことについて山本MDは次のように語っている。
「レースの中断期間中は、FIAとパワーユニット(PU)マニュファクチャラー各社の合意により、一切の活動を休止するシャットダウン期間が設けられました。そのため、Hondaのファクトリーでも一時期開発を停止しなければならなくなりました。当初予定していた開発スケジュールとは少しずれてしまいましたが、シャットダウン明けには、7月からのレース再開に向けて計画を立て直し、開発を進めました」
「我々の開発の中心はHRD Sakuraのファクトリーですが、シャットダウンによって開発スケジュールを変更せざるを得ませんでしたし、コロナ禍を受けたレギュレーション変更に伴いシーズン中のPUのアップデートが禁止されたため、オーストリアに投入する最初のスペックを年末まで使用しなければならなくなりました」
「そのため、当初はシーズン中に何度かPUのアップデートをする予定でしたが、計画を変更し、オーストリアGPまでにすべて開発しきる必要がありました」
今シーズンはアップデートの投入ができないため、HRD Sakuraでは開幕前にパフォーマンスアップの開発を続けてきたようだ。今後は信頼面のみの改善になる。
■ライバル・メルセデスの速さに驚き
「プラクティスでは、ダイナモテストでの想定通りの結果が出て、ロングランでも好調でした」
そう語った山本MDだが、王者メルセデスの速さに驚いたという。
「すべてが計画通りでしたが、メルセデスの進歩が目につき、特に予選でのパフォーマンス、そして我々とのタイム差には驚かされましたね」
■開幕戦の問題は「電気系」
開幕戦の問題は異なる電気系の問題だったということだ。
「2台とも電気系に問題があったので、配線やPU本体についても可能な限りすべてチェックしてきました。フェルスタッペンとアルボンに起こったアクシデントは、それぞれ別の問題であることが分かっており、次戦にはチームとともに対策を打って臨みます」
■決勝レースではメルセデスと戦える
予選はメルセデスに大きく離されたものの、レースでは戦える手応えを感じているという。
「予選では後れを取っていましたが、レースの展開を見る限り、決勝でのパフォーマンスではメルセデスに対抗できると思います。それはいいことですが、再度前回のようなトラブルに見舞われないようにしないといけません」
■アルボンの戦略
終盤、アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)がルイス・ハミルトン(メルセデス)とのバトルで接触してしまった件について山本MDは「悔しい」と語った。
「アレックス(アルボン)もいい走りを見せてくれました。チームが戦略を変更して、終盤でソフトタイヤを選択してもすぐに対応し、とてもいいパフォーマンスを見せてくれました。ハミルトンを抜きかけていたところでの接触だったので、いい結果を逃したことは非常に悔しいです」
■ガスリーが唯一の入賞
「セーフティカー中にピットインせず、1ストップを選択したのは、チームにとって非常に難しい決断だったと思います。しかし、ガスリーはリスタート後にハードタイヤをうまくコントロールしてくれました」
■目標は優勝
ホンダは長期的な視点で開発を進めており、2020年シーズンの目標は優勝であることは揺るがないという。
「必要に応じて信頼性の改善に取り組みますが、パフォーマンス領域については変更できないので、今はほかのチームと同じく2021年のPU開発に集中していく。これからはそういう姿勢で臨みます」
「開幕戦を経て、もちろんいくつかの課題も見えてきました。特に予選でのパフォーマンスはレギュレーションの範囲内でなんとか改善しなければなりません。でも、レースではいいパフォーマンスを見ることができて、今シーズンもメルセデスに対抗できると思っていますし、それを継続していくことが目標です」
■鈴鹿の中止は残念
鈴鹿サーキットでの日本GPは中止が発表された。ホンダF1が日本のファンの前で戦えないことに「悔しい」と語る。
「鈴鹿については、FIAや主催者による判断を支持します。ただ、今年はメルセデスとRed Bullのバトルを楽しんでもらえたはずですし、AlphaTauriも中団でいいポジションを取れると期待していただけに、非常に残念で悔しいです。ファンの皆さんの前でレースをお見せできないのは残念ですが、テレビなどでレースを観戦してもらい、皆さんから誇りに思ってもらえるチームになりたいと思います」
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