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【F1特集】“サムライ”8つの美徳:ホンダがついにF1を制覇する準備を整えた(後編)

2020年07月05日(日)20:01 pm

いよいよF1が開幕。しかし、今年は何かが違う。そう感じた人も多いのではないだろうか?

もちろん新型コロナウイルスはF1のみならず私たちの生活に大きな影響を与えた。しかし、それだけではない、“何か”を静かに感じている人もいるのではないか?

レッドブル、マックス・フェルスタッペン、そしてホンダF1の静かなる自信だ。

それは日本人だけではなく、海外に生まれ海外で生活をする人の目にも同じように映っているようだ。

本稿では、毎日F1の情報に触れているアンドリュー・マテシッツ記者がオフシーズン中から感じていることを紹介しよう。

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■“サムライ”レッドブル・ホンダの時代がやってくる予感

覚えているだろうか? 私は1999年後半から2000年初頭、フェラーリがどのようなふるまいをしていたかよく覚えている。ミハエル・シューマッハが20年以上ぶりに、ドライバーズタイトルをマラネロに持ち帰ろうと準備していた時だ。そして2010年のシーズン前、レッドブルの黄金時代が訪れる前にも・・・。

私が上記で示唆したように、F1を長年観察してきた者として、10年ごとにしか体験できないような事が起こる、という一種の静かな自信だ。私は今、それを再び感じている。

なぜ私のシックスセンス(第六感)が2020年の初めに引っかかったのだろうか? それはF1には時々、魔法がかかっているからだ。

スポンサーとの契約が欲しいがために、テストで見せかけの「ショーラップ」を行う必要はない。文句も出ないし、誰もチームを離れない。そしてそれをすべてまとめようとしているスーパースターの目には、“サムライ精神”が少しばかりキラリと輝いている。

しばしばやんちゃで、定期的に荒々しくなり、時には失礼な態度を取り、常にすごく攻撃的・・・しかし今年のマックス・フェルスタッペンの目は、非常に異なっているように見える。

「魔法」と呼ぼうが、「彼の時間」と呼ぼうが、好きなように呼んでくれていい。しかし、2020年のフェルスタッペンの背後には、勝ち方を知っているレッドブル・レーシングへの感謝の気持ちだけではなく、彼がホンダを褒めたたえているのが聞こえてくるようだ。

先日、あるF1関係者に今年のホンダは1988年に16戦中15勝という圧倒的な強さでF1を制覇した時のように見えると語った時、彼はこう言った。

「20億ユーロ(約2,400億円)を注ぎ込めば、最終的には勝てるようになるもんさ」。

その金額が正しいのかどうかは私には分からないが、新しい「パワーユニット」時代になる前年の2013年5月、2015年からF1に戻ることを決定して以来、ホンダが苦労して開発してきた6年または7年という年月で考えれば、20億ユーロは狂ったような金額には聞こえない。

それはホンダがメルセデスを倒すために費やしてきた必要経費のようにも聞こえる。それに、ホンダが「勝つ」ということ以外の理由でF1に参戦してくるだろうか?

フェルナンド・アロンソ(当時マクラーレン・ホンダ)が「GP2エンジン!」と叫んだことが懐かしい。アロンソの背中をそっと優しく押してあげようではないか。

そのアロンソの背中と首には大きな武士のタトゥーが彫られている。「Way of the Warrior(戦士の道)」とは、基本的にサムライの振る舞いにはないものだ。サムライに必要な美徳には、屈辱への恐れ、気分を害したり短気を起こさない、そして「状況が耐えられなかったとしても真の忍耐への熱心な献身」というものがある。

目的を達成するには、アロンソは完全な失敗だった。

しかし、ホンダはパドックの中で嘲笑され恥ずかしさや悔しさを感じながらも、静かにそっと腰を下ろし、ただ目の前のやるべき事に集中した。マクラーレンがせっかちで不親切な態度を取っていたころ、レッドブルは信仰と忠誠心を見出したのだった。

当時、マクラーレン・ホンダとレッドブル・ルノーのコラボレーションはどちらもひどい失敗に終わり、レッドブルとホンダは一つ一つ学習していた。

そして、マックス・フェルスタッペンが傲慢で未熟で衝動的だったころ、レッドブルとホンダは、武士道の教えの8つの美徳を習得することによって、ついに魔法をかける準備ができているように見える。

その1)清廉

サムライが死に際を知っているように、いつ打つべきかを知っている。

その2)勇気

悪者が使う度胸とは異なり、勇気は単に正しいことを見極め、成し遂げることだ。

その3)慈善

サムライはいつ攻撃するかを知っているが、同時にいつ寛大になるかもわかっている。

その4)丁寧

度胸と勇気に違いがあるように、良く見せようとすることと、礼儀と慈悲を持つことにも違いがあります。

その5)正直

不正行為やスキャンダルに満ちたスポーツの中では、真のサムライは欲張らず、代わりにシンプルさを完璧にすることで知恵を求めていく。

その6)名誉

人生には特権が伴うが、尊厳や名誉などの義務も含まれており、かつてのサムライの頭上には剣が存在している。

その7)忠誠

企業の世界では、お金は忠誠心よりも雄弁だ。しかし、本物のサムライは根強い忠誠心を保っている。

その8)コントロール

同様に、合理的で論理的なものに頼るのは非常に簡単だが、正しいことは単に正しい。

このように私が感じて考えていることと同じ事を、あなたも思っているだろうか?

ホンダ、レッドブル、マックス(フェルスタッペン)は、新時代に向けて準備ができている、と言えるだろう。

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