レッドブル首脳のヘルムート・マルコは、セバスチャン・ベッテルはフェラーリへの信頼を失ってしまったのだと考えている。
レッドブルとそのジュニアチームであるアルファタウリ(旧トロロッソ)のドライバー専任責任者として知られるマルコだが、ベッテルもかつてマルコの手でF1へと導かれたドライバーだった。
2010年から2013年にかけてレッドブルで4年連続F1チャンピオンになったベッテルだが、2015年にフェラーリへ移籍するもその後タイトルには手が届かず、ついに今年限りでフェラーリと決別することが決まっている。
いよいよ今週末からレースが開始される2020年のF1だが、ベッテルやフェラーリにチャンスはあると思うかと尋ねられたマルコはドイツの『Sport1(シュポルト1)』に次のように答えた。
「決して彼らを見くびることはできないよ」
「だが、セバスチャンは今年タイトルを狙えるだけのクルマを手にしていないという印象がある。私が間違っていればいいのだがね。F1をエキサイティングなものにするためには、3チーム以上でタイトル争いが繰り広げられる方がいいのは確かだからね」
さらに、ベッテルがフェラーリを去ることになったとのニュースを耳にしたときには驚いたかと質問されたマルコは次のように答えている。
「それほどでもなかったよ」
「その予兆は数か月前からあったんだ。彼は何らかの理由でフェラーリへの信頼を失ったのだと私は思っている」
実際のところ、フェラーリが今季からベッテルに代えてシャルル・ルクレールをナンバー1ドライバーに格上げしようとしていたのは外部から見ても明らかであり、ベッテルがナンバー2の位置に甘んじる可能性は小さいだろうと考えられていた。
ベッテルがフェラーリから提示された契約条件を蹴ったのはそれが理由だったと思うかと尋ねられたマルコは次のように答えた。
「そうだろうね。だが、彼(ルクレール)が非常に才能があるという理由だけではないだろう」
「ルクレールの回りには政治的な動きが多く、ベッテルはそれを嫌ったんだ。彼はただアクセルを踏み、勝利することだけを望んでおり、チーム内での無用な権力闘争のためにエネルギーを無駄にしたくないんだ」
「私としては最後のシーズンに彼が自分のスキルを証明するための機会をフェラーリが与えることを願うだけさ」
マルコはさらに、現時点でF1最年少チャンピオン記録を持つベッテルがこのまま引退するようなことになればF1にとっては「大損失」だと主張している。
「我々はマックス(フェルスタッペン)にその記録を塗り替えさせたいと思っているがね」
笑いながらそう語ったマルコは次のように続けた。
「真面目な話、もちろんそうなれば非常に大きな損失だよ」
「彼が2021年にメルセデスでハミルトンと一緒に走るかもしれないというちょっとしたうわさがメディアに激震をもたらした。そのことがすべてを物語っているよ。私は、トト・ヴォルフ(メルセデス/チームCEO)がそうはしないだろうと心配しているだけだ」
「そうなれば、セバスチャンは1年休みをとって2022年にチャンスを求めざるを得なくなるだろう。彼はまだ十分に若いしね」
そして、マルコは2022年にベッテルがレッドブルに復帰する可能性について含みを残している。
2020年にベッテルがレッドブルに復帰することもありえるかと質問されたマルコは次のように答えている。
「我々にはフェルスタッペンと(アレクサンダー)アルボンとの契約がある。それが現時点での状況だ」
「しかしながら、F1では常に何かが変わることもある。今シーズンが終わる頃にはより多くのことが分かるだろうね」