新型コロナウイルスのパンデミックがF1チームやドライバーの成績にも影響を及ぼすことになるかもしれない。
そう考えているのは1998年と1999年のF1チャンピオンであるミカ・ハッキネンだ。
新型コロナウイルスの世界的蔓延により今年は世界中のスポーツイベントが実施できない状況となったが、F1もここまで1戦も開催することができていない。
しかし、ヨーロッパ地域での感染拡大に一定の歯止めがかかったこともあり、現時点では7月のオーストリアを皮切りに無観客レースとして8レースを開催する計画で準備が進められている。
オーストリアのレッドブルリンクで行われる今季初レースは7月3日(金)に開幕し、同5日(日)に決勝が行われる予定となっている。ドライバーたちは2月にスペインのバルセロナで行われたプレシーズンテストでF1マシンを走行させてはいるものの、レースを戦うという観点からすれば、実に昨年の12月1日に決勝が行われたアブダビGP以来ほぼ7か月ぶりのこととなる。
「こんな状況はこれまで一度もなかったよ」
母国フィンランドの『Helsingin Sanomat(ヘルシンギン・サノマット)』にそう語ったハッキネンは次のように続けた。
「世界中が大きな被害を受けており、F1もシーズンがスタートできるのかどうかさえずっと分からない状況が続いていたからね」
F1ではファクトリーも閉鎖されていたし、チームもドライバーもこの数か月はほとんど何もすることができない状態に置かれていた。ハッキネンはこうした状況によって、2020年シーズン開幕当初はチームやドライバーの力関係に変化が生じる可能性もあると考えている。
「短期的にはドライバーにとってもチームにとってもストレスが大きくなるから、ミスも多くなるはずだ。それによって普段よりもいい成績を収めるドライバーやチームも現れるだろう」
そう語ったハッキネンは、有利になるのは経験値の高いドライバーだろうと次のように説明している。
「ドライバーがこれほど長い間休んでいた場合、またクルマに乗ったときにはちょっとばかりショックを感じるものなんだ。それは経験豊かなドライバーにとってはたいしたことではない。だけど、経験が少ない者にはより多くのことが求められることになる」
ハッキネンは、本来であれば過去最多の22戦で行われる予定だった2020年シーズンだが、レース数が減ることが確実となっているだけに、特にタイトルを争う者にとっては例年にも増してミスが許されない状況になると次のように付け加えている。
「ミスの重要度がさらに大きくなるだろうね。すべてのレースでうまくやる必要があるよ」