今年限りでフェラーリを離脱することが決まったセバスチャン・ベッテルだが、このままF1を引退してしまうのではないかと考えている者も少なくないようだ。
12日(火)にフェラーリはベッテルとの関係が今年いっぱいで終わることを発表したが、その声明の中でチーム代表のマッティア・ビノットは今回の結論に至る上で「特にこれといった理由はなかった」としている。
一方、ベッテルの方はもはやフェラーリにおいて「完璧な調和」を求めることは難しい状況だと語り、チーム内での関係がうまくいっていないことを示唆している。
だが、F1関係者の多くが特に注目したのはベッテルの次のコメントだ。
「ここ何か月かの間に起きていることは、僕たち多くの者にとって人生において本当に優先すべきものは何だろうということを考えさせるものだった」
「僕自身もこれから時間をかけて、自分の将来に向けて何が本当に重要なのかを熟考する必要がある」
これはベッテルがF1引退を考えていることを示唆したものだと受け止めた者も少なくないようだ。
かつてフェラーリでドライブしたこともある元F1ドライバーのミカ・サロは、母国フィンランドの『Ilta-Sanomat(イルタ・サノマット)』に次のように語っている。
「昨年の彼の姿はまるでもうそこにいたくないと思っているようにさえ見えた」
メルセデスの前モータースポーツ責任者であるノルベルト・ハウグも母国ドイツの『Bild(ビルト)』に次のように語っている。
「彼が抱えていた疑問は次のようなものだっただろう。我々は一緒に戦っているのか? 僕は必要な配慮を得られているのか? 僕のチームメートの方が優遇されているのか?」
「セバスチャンは非常につじつまの合う決定を下したと私は思っている」
さらに、元F1ドライバーのペドロ・デ・ラ・ロサも、ベッテルがこのままF1を引退してしまう可能性も十分にあると考えている。
「彼はもはやレースに勝つことやF1チャンピオンになるということを話題にしておらず、最善の未来を考えたいとしている。それは恐らくレースからはほど遠いものかもしれない」
ベッテルと同じドイツ出身の元F1ドライバーであるラルフ・シューマッハは、あまり恐らく表には出ていなかったものの、フェラーリとベッテルの間に大きな確執が生まれていたのではないかと考えている。
「もしドライバーがもはやあまり居心地がよいとは感じられなくなったり、サポートを受けられていると思えなくなったら、そのときは出ていくべきだ」
テレビ局『Sport1(シュポルト1)』にそう語ったラルフ・シューマッハは次のように付け加えた。
「もちろん、このまま彼が引退する可能性もある。だが、彼にはほかに行き場があるはずだと私は確信しているよ」