アルファタウリのチーム代表を務めるフランツ・トストは、実際にいつ2020年F1シーズンがスタートできるのかはまだ予断を許さない状況だと考えている。
アルファタウリは世界的エナジー飲料メーカーであるレッドブル社がオーナーであり、トップチームであるレッドブル・レーシングのためのドライバー育成という役割を担っているチームだ。
そのレッドブル・レーシングのヘルムート・マルコ(モータースポーツアドバイザー)は最近、7月初旬にレッドブルリンクでF1オーストリアGPを開催できる可能性はかなり高いと発言している。
また、イギリスGPの舞台であるシルバーストン・サーキットもなるべく早い時期にレースを開催したいという意向を示している。
だが、イギリスで夏にF1が開催できるかどうかは新型コロナウイルスの状況次第であり、イギリス政府がどう判断するかによってくるのは間違いない。
シルバーストン・サーキットの責任者であるスチュアート・プリングルは次のように語っている。
「これから10日間のうちに政府に我々の計画の詳細を伝える必要がある」
しかし、現時点では新型コロナウイルス対策としてあらゆるイベント開催が禁止されており、それが緩和される兆しもまだ見えてきていないのも事実だ。
トストはF1の目論見通りにレースが開催できるかどうかは分からないとドイツの『Speed Week(スピードウィーク)』に次のように語った。
「物流の観点からは、F1は舵取りが難しい大きな扱いにくい船なんだ」
「現時点では答えよりも疑問の方が多い状態だ。多くのことが不明確だからね」
「まず、それぞれの国の政府がどういう判断をするのか、我々には分からない」
「スポーツの復活についておおまかな概要を述べることはできる。だが、結局のところそれが実現できるかどうかは分からないんだ」
確かに、F1レース開催実現に向けてクリアすべきハードルは多いだろう。例えば、マルコもレースを開催する前にF1はコロナウイルスの感染テストを行う必要もあるだろうと認識している。
だがトストは、それすら簡単なことではないと次のように続けた。
「そのテストには注意を払う必要がある。なぜなら、今は多くの異なるものが存在しているからね」
「全体的な状況はものすごく複雑なんだ。政府の判断に委ねるしかないし、非常に多くの個別的要素全てが影響してくるからね」
「もちろん、FIA(F1統括団体の国際自動車連盟)とFOM(F1運営組織)はできるだけ早期に始めたいと思っている。だが、これは単に望ましいシナリオに過ぎないということも認識しておく必要がある」
トストはそう語ると、次のように付け加えている。
「政府が多くの自由度を認める形で状況が進展してきたことにより、オーストリアでは幸運に恵まれるかもしれない。イギリスでは逆の展開になることもあり得るだろう。まったく分からないよ」